PDFを使った文書校正を行う際、校正担当者(以下、担当者)にどのようにPDFを渡し、そしてPDFを戻してもらうかは、スムーズな校正作業を行う上で大変重要なことです。担当者に校正以外の作業負担ができるだけかからないようにすることも、依頼者の重要な役割です。今回は、メールベースでの依頼方法について紹介します。
校正担当者が1人ならメール添付で
校正担当者が1人なら、メール添付で依頼すればよいでしょう。添付したPDFに注釈を入れてもらい、それを返信してもらえばそれが校正原稿となります。あとは元文書を修正すればよいことになります。
問題になるとすれば、PDFのファイルサイズが大きくてメールに添付できない場合です。文書のボリュームが大きく、画像がたくさん入ったPDFのファイルサイズは、時にメールで送受信可能なサイズを超えてしまうことがあります。このようなケースに関しては、別の機会に説明します。
複数の校正担当者がいるとき
校正担当者が2人以上のときでも、メール添付で校正依頼しても大きな問題はありません。ただし、校正担当者から戻って来た注釈入りのPDFは担当者の数と同じだけになります。戻って来た添付ファイルを保存する際に、校正担当者の名前をファイル名に追加するなどして、どのファイルが誰からの校正PDFであるかがわかるようにしておく必要があります。
Acrobatの機能を使おう
Acrobatには、複数の校正担当者にメールで校正依頼する機能が備わっています。この機能を使うと、校正担当者からメールで戻って来た校正PDFから注釈だけを取り出して元文書に結合し、注釈を1つのPDFにまとめられるというメリットがあります。ここでは、メールを依頼する手順から、校正担当者側の画面がどのようになるかを一通り画面を通して見てみましょう。
1 校正依頼のメールを送る
校正してほしいPDFを開き、「注釈」パネルの「レビュー」から「電子メールレビュー用に送信」をクリックします。
「はじめに」ウィンドウが開いたら、[次へ]をクリックします。
校正担当者のメールアドレスを入力します。複数の担当者に依頼する場合は、改行してメールアドレスを入力してください。入力したら[次へ]をクリックします。
「件名」「メッセージ」を入力します。サンプルでは、初期設定のままになっていますが、適宜、校正担当者の名前や依頼文を入れるなどの調整をしてください。終わったら[レビュー依頼を送信]をクリックします。これで、メールが送信されます。
2 校正担当者の操作
校正担当者に、依頼者からのメールが届きました。PDFはメールに添付されているので、PDFを保存します。
添付されてきたPDFをAcrobatまたはAdobe Readerで開きます。このPDFは、自動でAdobe Readerでも注釈が利用できるようになっています。担当者注釈ツールを使って校正したら、画面上部のバーに表示された[注釈を送信]をクリックします。
「注釈を送信」ウィンドウが開くので、必要に応じてメッセージの文面を変更し[送信]をクリックします。これで、校正したPDFを依頼者に返信できました。
3 校正PDFを開いて注釈をまとめる
依頼者は、校正担当者からの返信メールを受信したら、添付されているPDFを開きます。PDFは保存せずにそのまま開いても問題ありません。
「注釈を結合しますか?」画面のウィンドウが表示されるので[はい]をクリックします。配置されたというウィンドウが表示されたら[OK]をクリックします。
校正依頼時に開いていた元のPDFに、校正担当者からの注釈が結合されます。すべての校正担当者からの返信メールで同じ作業を行えば、元PDFに注釈がまとまるので、元文書を修正する際の校正漏れを少なくできます。
手作業で注釈をまとめる
Acrobatの機能を使うと、注釈のとりまとめが簡単に行えます。ただし、校正依頼のメールには、送信先のメールアドレス欄に指定した担当者のメールアドレスがすべて表示されてしまいます。文書の内容によっては、誰に校正を依頼しているかを秘密にしたい場合もあります。このような場合は、校正担当者ごとにそれぞれPDFを添付したメールを送信して依頼することになるでしょう。
個別のメールで依頼した場合には、返信されてきた校正済みPDFの注釈だけを、元のPDFに1つにまとめておくといいでしょう。手作業になりますが、元文書の修正や、注釈の管理が楽になります。
注釈をまとめる元のPDFを開きます。「注釈」パネルを開き「注釈のリスト」の右上に表示された「オプション」ボタンをクリックし[データファイルの取り込み]をクリックします。
「注釈の取り込み」ダイアログボックスが開くので、校正担当者から戻ってきたPDFを選択して[開く]をクリックします。これで、校正担当者が追加した注釈が元のPDFに取り込まれます。