PDFを配布する際には、適切なセキュリティやプロパティ情報を設定すべきですが、たくさんのPDFを扱っている場合、PDFごとに設定していると効率的ではありません。Acrobatには、アクションといって、同じ処理を複数のPDFに自動で行える機能があります。今回はアクションについて説明します。

操作を自動化するアクション

前回はプロパティ、前々回はセキュリティと、PDFを配布する際の設定について説明しました。しかし、時と場合によっては、大量のPDFファイルに、同じ処理をしなければならないことがあります。大量の処理を手作業で行うと、設定漏れやミスの増加につながります。

同じ処理を機械的に繰り返し行うのであれば、PCに自動でやらせた方が速くて正確です。Acrobatには、定形の処理を複数のPDFに行うためのアクションという機能があります。今回は、配布用PDFとして、印刷以外の編集を制限するセキュリティの設定を自動化するアクションを作成して、アクションの概要をつかんでもらえればと思います。

新規アクションを作成する

Acrobatで、ツールパネルを表示します。「アクションウィザード」を展開して表示し[新規アクションを作成]をクリックします。

ツールパネルの「アクションウィザード」を展開して表示し[新規アクションを作成]をクリック

「新規アクションを作成」ダイアログボックスが開きます。左側には、自動化できるアクションが項目ごとに表示されています。ここでは、セキュリティを設定するので「保護」を展開して表示し、「暗号化」を選択して「右側のパネルに追加」をクリックします。

「保護」を展開して表示し「暗号化」を選択して「右側のパネルに追加」をクリック

「暗号化」が右側のパネルに追加されました。「設定を指定」をクリックします。

右側に追加された「暗号化」の「設定を指定」をクリック

「文書のセキュリティ」ダイアログボックスが開きます。「セキュリティ方法」から「パスワードによるセキュリティ」を選択します。

「セキュリティ方法」から「パスワードによるセキュリティ」を選択

「パスワードによるセキュリティ」ダイアログボックスが表示されます。「権限」の「文書の印刷および編集を制限。これらの権限設定を変更するにはパスワードが必要」にチェックを付け、「権限パスワードの変更」で権限パスワードを入力し、「印刷を許可」は「高解像度」、「変更を許可」は「許可しない」に設定し、「OK」をクリックします。

「パスワードによるセキュリティ」ダイアログボックスで、印刷のみを許可するように設定する

次のダイアログボックスが開いたら[OK]をクリックします。

[OK]をクリック

権限パスワードの確認ダイアログボックスが表示されるので、設定したパスワードを入力して[OK]をクリックします。

「権限パスワード」欄にパスワードを入力して[OK]をクリック

「文書のセキュリティ」ダイアログボックスに戻るので[OK]をクリックします。

[OK]をクリック

「新規アクションを作成」ダイアログボックスに戻ります。「暗号化」の「ユーザーに確認」のチェックを外します。このチェックを外さないと、アクション実行時に確認ダイアログボックスが表示されます。アクションで複数PDFに処理を行う際には、非効率なのでチェックを外します。

続いて、左側のリストから「保存と書き出し」を展開して表示し、「保存」を選択して「右側のパネルに追加」をクリックします。これは、セキュリティを設定したPDFを保存するためのアクションです。

「暗号化」の「ユーザーに確認」のチェックを外します。「保存と書き出し」を展開して表示し「保存」を選択して「右側のパネルに追加」をクリック

「保存」が右側のパネルに追加されたので、「設定を指定」をクリックします。

右側に追加された「保存」の「設定を指定」をクリック

「出力オプション」ダイアログボックスが表示され、保存時のオプションを設定できます。ここでは、元ファイルのままで上書き保存するので、設定を変更せずに「元のファイル名を維持」と「ファイルをAdobe PDFとして保存」がチェックされた状態で[OK]をクリックします。

「元のファイル名を維持」と「ファイルをAdobe PDFとして保存」がチェックされた状態で[OK]をクリック

「新規アクションを作成」ダイアログボックスに戻るので[保存]をクリックします。

[保存]をクリック

「アクションを保存」ダイアログボックスが表示されます。「アクション名」にアクションの名称を入力します。「アクションの説明」に、このアクションでの自動化される概要を入力します。入力したら[保存]をクリックします。

「アクション名」と「アクションの説明」を入力して[保存]をクリック

ツールパネルの「アクションウィザード」に、作成したアクションが追加されました。

作成したアクションが追加された

アクションを実行して確認する

アクションを作成したら、実行してみて、思ったように動作するかを確認しましょう。ツールパネルに表示されたアクションをクリックします。なお、作成時の「アクションを保存」ダイアログボックスで入力した「アクションの説明」は、アクションにマウスオーバーすると表示されます。

実行するアクションをクリック

パネルの表示が変わります。最上部の「処理するファイル」欄(1)の「ファイルを追加」をクリックして、アクションで処理するファイルを指定します。処理するファイルは、フォルダーを指定することも可能です。

ファイルを指定したら「開始」をクリックして、アクションを実行します。

アクションで処理するファイルを選択し(1)、「開始」をクリック(2)

アクションが正常に実行されると、選択したファイルに緑のチェックマークが付きます。「閉じる」をクリックして、通常のツールパネルに戻ります。

ここでは、セキュリティを設定したので、処理したPDFファイルのセキュリティが正しく設定されているかを確認してみてください。

アクションが完了したら「閉じる」をクリック

アクションの編集と削除

アクションの内容や名称などは編集するには、ツールパネルの「アクションウィザード」の「アクションを管理」をクリックします。

「アクションを管理」をクリック

「アクションを管理」ダイアログボックスが表示されます。アクションを選択して右側の「編集」ボタンをクリックすると、アクションの内容を編集できます。「名前を変更」で名称の変更、「コピー」でアクションの複製、「削除」で不要なアクションを削除できます。

対象となるアクションを選択し、右側のボタンをクリックする

今回は、セキュリティを自動設定するアクションを作成しましたが、文書のプロパティの「作成者」の情報を一括して変更するのにもアクションを使えます。 大量のPDFに同じ操作を行うには、アクションが利用できると効率的です。