PDFには、PDFの作者やタイトルなどの情報をプロパティとして記述できます。取扱説明書や各種申請書など、広く不特定多数のユーザーに配布する目的でPDFを公開する場合、プロパティにも気を配りましょう。今回は、プロパティの修正について説明します。
プロパティの確認と修正
PDFには、PDFの作成者やタイトルなどの情報をプロパティとして記述できます。この情報はメタデータといい、Webで公開した際に、検索対象になります。タイトルは、Webの検索エンジンで検索結果として表示されます。タイトルがないPDFはファイル名が表示されるので、適切なタイトルを付けることは、PDFを探しているユーザーにとってメリットとなります。
プロパティに記述されるこれらの情報は、WordなどのMicrosoft OfficeアプリケーションからPDFを作成すると、Microsoft Officeアプリケーションのプロパティ情報がそのまま引き継がれて自動入力されます。
Microsoft Officeアプリケーションに適切なタイトル等が設定されていればよいのですが、なかなかそうはいきません。また、Microsoft Officeのユーザー名は、社員の名称や社員IDなどになっていることもあります。そのため、Web公開用のPDFの作成者欄に、個人の名称やIDが残ってしまうことがあります。
プロパティの情報は、PDF文書の内容に直接関係するものではありませんが、企業公認としてPDFを公開するのであれば、作成者は企業名や担当部署、タイトルにはWebで検索されたときにすぐに内容がわかるものを設定しておいたほうがベターです。
プロパティを確認するには、PDFをAcrobatで開き、右クリックしてメニューから[文書のプロパティ]を選択します。[ファイル]メニューの[プロパティ]を選択してもかまいません。
「文書のプロパティ」ダイアログボックスが開くので、「概要」タブを選択します。ここに、PDF文書の作成者やタイトルなどの情報が記述されています。
情報を修正する
情報の修正は、これまで入力されていた内容を削除して、適切な情報に修正して[OK]をクリックしてください。あとはPDFを保存すれば、プロパティの情報は変更されます。 「作成者」欄には、会社名だけなのか、部署名までいれるのかなど、企業内でルールを決めて運用するとよいでしょう。
Microsoft Officeアプリケーションの情報の設定
ちなみに、PDFをMicrosoft Officeアプリケーションから作成した場合、Microsoft Officeアプリケーションではプロパティの情報をどこで設定するのかも覚えておきましょう。ここでは、Wordを例に説明しますが、ExcelやPowerPointでも同様です。
Word2010では「ファイル」メニューの「情報」を選択すると、画面右側に表示されます。ここで設定したタイトルや作成者などの情報が、PDFの情報に自動入力されます。「タグ」欄で入力された内容は、PDFの「キーワード」となります。
Word2007では、Officeボタンをクリックし「配布準備」から「プロパティ」を選択すると、「ドキュメントのプロパティ」が表示されるので、ここで設定します。
「開き方」の設定も確認
「文書のプロパティ」ダイアログボックスの「概要」で作成者やタイトルを確認したら、「開き方」の設定も確認しておきましょう。「開き方」では、AcrobatやAdobe ReaderでPDFを開いた時の、表示方法を設定できます。
たとえば、ページ数の多いPDFであれば「しおり」パネルをはじめから表示したほうがわかりやすくなります。また、見開き状態で見た方がわかりやすいPDFもあります。PDFの内容に応じて、最適な開き方を設定しておきましょう。
「表示」では、PDF文書と同時に、「しおり」パネルや「ページ」パネルを表示するかどうかを設定できます。
「ページレイアウト」では、単ページ表示か見開き表示かなどを設定できます。
「倍率」では、PDFの表示倍率を設定できます。「デフォルト」に設定しておくと、PDFを閲覧するユーザーの使用しているAcrobatやAdobe Readerの環境設定に従って開きます。それ以外の倍率では、設定した倍率で開きます。
「開くページ」では、はじめに開くページ番号を指定できます。
「ウィンドウオプション」では、AcrobatやAdobe ReaderのPCでの表示位置を設定できます。
「ユーザーインターフェイスオプション」では、AcrobatやAdobe Readerのメニューバーやツールバーの表示/非表示を設定できます。
PDFのプロパティに表示される情報は、文書の内容に直接関係ないので、気にせずに配布・公開してしまうことが多いようです。配布の前に気をつけて見る習慣をつけるとよいでしょう。