これまで、PDFのレビュー依頼からトラッカーでの管理まで、Acrobatの機能を紹介してきました。しかし、PDFのファイルサイズが大きくてメールに添付できないことや、共有サーバーがない場合もあります。そんな場合は、手作業でのレビューとなります。今回は、PDFから注釈データだけを取り出す方法と、取り出した注釈データをPDFに取り込む方法について説明します。
注釈データだけを取り出す
校正対象となるPDFのデータサイズが、メールに添付できないぐらい大きいケースは意外に多いと思います。特に、校正担当者が社外にいる場合には、ちょっと面倒です。 このようなPDFを、社外の校正担当者に依頼する場合は、以下の2つがポイントとなります。
(1)どのようにPDFを校正担当者に渡すか
(2)どのように注釈をもらうか
(1)どのようにPDFを校正担当者に渡すか
サイズの大きなPDFを校正担当者に渡す方法は、いくつか考えられます。時間があるならCD-Rなどのメディアに焼いて送ればよいでしょう。オンラインで送信するなら、無料のファイル送信サービスを利用することもできます。コンプライアンスに考慮して、問題ない方法をとればよいでしょう。
(2)どのように注釈をもらうか
注釈を入れたPDFは、元のPDFサイズよりも大きくなるので、当然電子メールでのやりとりはできません。しかし、Acrobatでは、注釈のデータだけを取り出すことができます。注釈データだけであれば、ファイルサイズも小さいので、電子メールに添付して送ることができます。
注釈データを取り出すには、Acrobatの「注釈パネル」を開き、「注釈のリスト」の[オプション]」をクリックして「すべてをデータファイルに書き出し」を選択します。
「注釈の書き出し」ダイアログボックスが開くので、適当なフォルダーに保存します。注釈データは、ファイルの種類が「fdf」となります。
あとは、保存したfdfファイルをメールに添付して送ってもらえばOKです。ちなみに、サンプルで使用したPDFの注釈データは、元PDFが100KBに対して、fdfファイルは5KBという小さいファイルとなります。
もちろん、校正依頼者は、校正担当者に元のPDFを渡す際に、注釈の取り出し方を伝えてメールで送ってもらうようにお願いする必要があります。それほど難しい操作ではありませんが、取り出し方を簡単にまとめた説明用のPDFを用意しておくと、校正担当者もスムーズに作業できると思います。
受け取ったfdfファイルの取り込み
校正担当者からfdfファイルを受け取ったら、PDFに注釈を取り込みましょう。fdfファイルは、元のPDFと同じフォルダーに保存しておくことをお勧めします。校正担当者が複数人いる場合は、どの担当者から送られて来たfdfファイルかがわかるように、ファイル名を付けておくといいでしょう。
Acrobatで、校正依頼したPDFを開きます。「注釈パネル」を開き、「注釈のリスト」の[オプション]をクリックして「データファイルの取り込み」を選択します。
「注釈の取り込み」ダイアログボックスが開くので、メールから取り出して保存したfdfファイルを選択して開きます。
警告ダイアログボックスが開いた場合は、「はい」をクリックします。
注釈が取り込まれたことを確認します。
なお、校正担当者が注釈を取り出したPDFと、校正依頼者が注釈を取り込んだPDFが、同じPDFであることが必要です。通常、校正担当者にはPDFをコピーして渡すので、依頼者と担当者で使用するPDFが異なることはないのですが、校正依頼後にPDFを編集したりして、ページ数が変わっていたりすると、注釈が正しく取り込まれません。ご注意ください。