複数の校正担当者と注釈をシェアする共有レビュー -PDFのレビュー(3)

文書の校正担当者が複数人いる場合、校正内容が重複したり、異なったりすることがあります。Acrobatには、文書に入れた注釈をシェアできる共有レビューという機能があります。注釈をシェアできるので、だれがどのような注釈を入れたかを確認しながら校正できます。今回は、ネットワークフォルダを使った共有レビューを紹介します。

共有レビューを使うと注釈をシェアできる

Acrobatには、共有レビューという機能があります。共有レビューは、校正依頼者と校正担当者で、PDF文書に入れた校正用注釈をシェアできるようになっています。他の校正者が入れた注釈を自分のPDFに反映させられるので、誰がどのような注釈を入れたかを確認できます。 たとえば、メールベースでの共有レビューの場合、校正担当者にメールでPDFを添付して校正を依頼します。校正担当者は、共有サーバーに接続した状態でAcrobatやAdobe Readerで校正を行います。校正後は注釈のデータだけを共有サーバーに送信します。

共有サーバーに送られた注釈データは、他の校正者や校正依頼者のPDFに反映されます。

共有レビューの手順

共有レビューには、校正依頼者と校正担当者が共通してアクセスできる共有サーバー(WindowsのネットワークフォルダーSharePointワークスペース、WebDAVサーバー)を使う方法と、Adobeのサーバーを使う方法の2通りあります。企業内の校正で共有フォルダーがある場合は、共有フォルダーを使うとよいでしょう。

Adobeのサーバーを使うには、校正依頼者/校正担当者ともにAdobeIDが必要となります。AdobeIDは電子メールアドレスを使って無償登録するIDで、Adobeの各種クラウドサービスを受ける際に必要となります。AdobeIDを使う必要がありますが、共有サーバーが不要なことや社外スタッフも含めて校正を依頼できるメリットがあります。 今回は、企業内に読み書きできる共有ネットワークフォルダーがあるとして、メールにPDFを添付して校正を依頼する共有レビューの手順を、一通り画面を通して見てみましょう。

1 校正依頼のメールを送る

校正して欲しいPDFを開き、「注釈」パネルの「レビュー」から「共有レビュー用に送信」をクリックします。

「共有レビュー用に送信」ウィンドウが開いたら、注釈を保存する共有サーバーを選択します。企業内の共有サーバーを使用する場合は「内部サーバーで注釈を自動的に収集」を選択、AdobeIDを使ってAdobeのサーバーを使う場合は「アドビオンラインサービスで注釈を自動的にダウンロードおよびトラック」を選択します。 今回は、共有できるネットワークフォルダーがあるので「内部サーバーで注釈を自動的に収集」を選択して［次へ］をクリックします。

共有サーバーの種類(WindowsのネットワークフォルダーSharePointワークスペース、WebDAVサーバー)を選択します。ここでは、Windowsのネットワークフォルダーを選択しますが、実際には使用できるネットワーク環境に従ってください。［参照］ボタンをクリックして、共有ネットワークフォルダーを選択し［次へ］をクリックします。

校正するPDFの配布方法として「Adobe Acrobatを使用して送信」を選択します。「ローカルコピーを保存して後で手動送信する」を選択した場合は、自分で手作業でメール等で校正担当者に送る必要があります。

「Adobe Acrobatを使用して送信」を選択した場合は、PDFをメールに添付するか、共有フォルダーに置くかを選択できます。「メッセージ中のリンクとして」を選択すると、共有フォルダーに校正用のPDFがコピーされます。PDFのファイルサイズが大きくメールに添付できない場合はこちらを選択します。メールに添付する場合は「メッセージ添付ファイルとして」を選択します。ここでは、「メッセージ添付ファイルとして」を選択し［次へ］をクリックします。

サーバープロファイルを入力します。サーバープロファイルは、サーバーの場所やPDFファイルの配布方法を記録した設定プロファイルで、次回から共有レビューの開始時に選択するだけで設定が読み込まれるようにするものです。ここでは共有フォルダーを使ってメール添付で依頼するので「共有フォルダー(添付ファイルとして送信)としました。入力したら［次へ］をクリックします。

校正担当者のメールアドレスを入力します。複数の担当者に依頼する場合は、「;」で区切るか改行してメールアドレスを入力してください。［宛先］をクリックするとアドレス帳から選択できます。「タイトル」「メッセージ」を入力します。サンプルでは、初期設定のままになっていますが、適宜、校正担当者の名前や依頼文を入れるなどの調整をしてください。終わったら［送信］をクリックします。これで、メールが送信されます。

これで、共有レビューが開始されました。PDF上部には、注釈に関する文書メッセージバーが表示されます。なお、共有レビューでは、元のPDFはそのまま残り、同じフォルダーに「元文書名_review.pdf」という別名で保存されたコピーが利用されます。校正担当者に配布されるPDFも「元文書名_review.pdf」となります。

2 校正担当者の操作

校正担当者に、依頼者からのメールが届きます。PDFはメールに添付されているのでAcrobatまたはAdobe Readerで開きます。PCに保存して開いても、そのままメールから開いてもかまいません。 なお、今回はメール添付で依頼しましたが、依頼者が「メッセージ中のリンクとして」を選択していた場合には、共有フォルダーに保存されたPDFのパスが表示されます。

共有レビューの開始ダイアログボックスが表示されるので［接続］をクリックします。「次回から表示しない」をチェックしておくと、次回からは表示されなくなります。

「共有レビュー」ダイアログボックスが開きます。このダイアログボックスには、共有レビューの返答期限や担当者、依頼者などが表示されるので確認してください。校正を開始するには［OK］をクリックします。「次回から表示しない」をチェックしておくと、次回からは表示されなくなります。

PDFをAcrobatまたはAdobe Readerで担当者注釈ツールを使って校正したら、画面上部の文書メッセージバーに表示された［注釈をアップロード］をクリックします。これで、注釈だけが共有サーバーにアップロードされます。

3 他の校正者の注釈の確認

校正依頼者や、校正担当者は、文書メッセージバーの［新しい注釈を確認］をクリックすると、他の校正担当者が記入してアップロードした注釈を取り込むことができます。ポップアップに確認結果が表示され、新規注釈があった場合は件数が表示されるので［表示するにはここをクリックしてください］をクリックします。

新しい注釈が取り込まれました。このように、共有レビューを使うと、校正依頼者と校正担当者が、記入した注釈をシェアしながら校正を進めることができます。

また、記入された注釈を右クリックして［返信］を選択すると、他の校正担当者の記入した注釈に対しての補足やコメントなどの返信を入力できます。

PDFの保存について

依頼者のPDF

元のPDFと同じ保存場所に、共有レビュー用の「元文書_review.pdf」という名称で保存されます。注釈は共有フォルダに保存されたものが読み込まれます。閉じるときに保存すると、その時点での注釈も一緒に保存されます。再度開いた際に、共有フォルダにアクセスして最新の注釈の状態になります。

校正担当者のPDF

校正担当者に配布されたPDFは、共有レビュー用の特殊なPDFです。メールから直接添付ファイルを開いても、パソコンに保存してから開いても、挿入した注釈は共有フォルダーに保存されます。なので、保存せずに閉じても、次回開いた時に共有フォルダにアクセスできれば、再度注釈を読み込みます。 校正が終了したPDFをパソコンに保存すると、保存した時点での注釈も一緒に保存されます。

Adobeのサーバーを使った場合

サーバーの種類に「アドビオンラインサービスで注釈を自動的にダウンロードおよびトラック」を選択すると、PDFはAdobeのサーバーにアップロードされ、校正担当者にPDFを保存URLがメールで通知されます。このURLにWebブラウザでアクセスすると、校正するPDFをダウンロードできます。ダウンロードしたPDFは、メール添付の場合と同様に扱え、追加した注釈はAdobeのサーバにアップロードされ、シェアされます。