古いドキュメントを開いてみたら
旧バージョンの「QuarkXPress」には「勘弁してよ」と感じてしまう仕様が多かった。その中のひとつがルビ機能だ。途中の行にルビを入れる場合は問題ないが、行頭に入れると行がずれてしまったのだ。そのため、計算機を使って行頭のルビでずれる分だけテキストボックスをずらしてやらなければいけなかったのである。
さて、今回のバージョンではどうだろうか? 早速、古いバージョンのドキュメントを開いてみたら……。相変わらずずれているではないか(図1)。これではまたまたま計算が必要になるなと思い、今度は新規のドキュメントで行頭にルビが入るドキュメントを作ってみたところ、ちゃんと外に出ているのである(図2)。
図1 3.3で作られたドキュメントを開いた場合、行頭のルビはこれまでと同じようにテキストボックス内に生成される |
図2 新規ドキュメントで行頭ルビの処理を行った場合、テキストボックス外にルビが生成されるため、行のずれが起きないようになった |
これはどういうことなのか調べてみた。ドキュメントの互換性を保つために、ドキュメントの作成されたバージョンによってルビの置き方を変えているのである。
これにより、6以前で作られたドキュメントを再利用する場合でも手直しの必要がなくなるというメリットがあるのだ。
オプションキーを押しながら開く
しかし、過去データ流用の場合でもマスターページはあらかじめ行頭のルビを考慮して作られていないケースがほとんどである。そのようなドキュメントを使う場合、ルビの設定をしてしまうと非常に不便でもある。
その事はQuarkも気がついていたのだろう。実はファイルを開くときにオプションキーを押しながら行うと、QuarkXPress 8形式のフォーマットとして認識されるようになっている。
実際に試してみたのが図3。図1のようにルビがボックス内に入り込む事なく、ちゃんと外に出ており、本文組に影響を与えないようになっているのだ。また、ルビのオプションも状況に合わせて変更できるようになっている(図4)。
図3 オプションキーを押しながらドキュメントを開いた場合、8形式の動作となる。そのため、テンプレート等の書類は新しい形式で使用する事が可能だ |
図4 状況に合わせてルビの付け方を設定する事も可能。比較的柔軟性の高い仕様になっている |
できて当たり前の事といってしまえばそれまでだが、このような旧ドキュメントとの互換性を最大限に生かすための仕様は素直に歓迎したい。ちなみに旧ドキュメントを新たに保存した場合でもその属性は引き継がれるため、トラブルが起きにくい仕様になっている。
これなら過去の資産が膨大にあるユーザーでも安心して新環境に移行できるのではないだろうか?
※ 本稿では開発途中のQuarkXPress 8日本語版を使用しています。発売時には仕様変更されている可能性がありますのでご了承ください。