今回は、PowerPointで作成したスライドをPDFに変換したり、Word文書や画像ファイルに変換したりする方法を紹介していこう。「スライドをWebに公開する」、「取引先にメール送信する」、「スライドを別の文書で再利用する」といった場合などに活用できるので、操作手順をひととおり確認しておくとよいだろう。

スライドをPDFに変換

まずは、スライドをPDFに変換する方法から解説していこう。PDFは、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも利用できる、極めて汎用性の高いファイルといえる。このため、「スライドをWebに公開する」、「資料として取引先にメール送信する」、「スマホやタブレットに入れて持ち歩く」などの用途に活用することが可能となる。

では、さっそく操作手順を解説していこう。スライドをひととおり作成できたら、「ファイル」タブを選択する。

  • 「ファイル」タブを選択

続いて、左側のメニューで「エクスポート」の項目を選択する。すると、以下の図のような画面が表示される。PDFを作成するときは、「PDF/XPS ドキュメントの作成」を選択し、「PDF/XPSの作成」ボタンをクリックすればよい。

  • PDFの作成

あとは、「保存先フォルダー」と「ファイル名」を指定して「発行」ボタンをクリックするだけ。これでスライドをPDFとして保存することができる。

  • PDF形式で保存

なお、この画面には「標準」または「最小サイズ」を選択する項目も用意されている。この項目は、「画質を優先するか?」それとも「ファイルサイズを優先するか?」を基準に選択すればよい。少しくらいファイルサイズが大きくなっても画質を優先したい場合は「標準」、できる限りファイルサイズを小さくしたい場合は「最小サイズ」を選択するのが基本だ。

保存先に指定したフォルダーを開くと、指定したファイル名でPDFが作成されているのを確認できる。

  • 保存されたPDFのファイル

このファイルをダブルクリックすると、Acrobat ReaderなどのPDFビューアーが起動し、PDFの内容(スライド)を閲覧することができる。

  • PDFを閲覧した様子

このように「スライド」→「PDF」の変換は簡単な操作で実行できる。詳しく解説しなくても、「すでに知っているよ!」という方も多いだろう。そこで、スライドをPDF変換するときの注意点をいくつか紹介しておこう。

まずは、各スライドに指定した「画面切り替え」や「アニメーション」について。これらは、PDFでは再現されなくなる。PDFは「静的な文書」を記録するファイル形式となるため、これは当然といえば当然の結果といえるだろう。

次は「非表示スライド」について。「非表示スライド」に指定したスライドは、PDF変換の対象にならない仕様になっている。たとえば、5枚目のスライドを「非表示スライド」に指定した場合は、5枚目のスライドを除いた形でPDFが作成されることになる。この仕様を応用して、必要なスライドだけをPDFに変換することも可能だ。

最後に「リンク」についても触れておこう。基本的に、PDFに変換した後もリンクは機能する仕様になっている。このため、(PDFビューアーで)リンクをクリックして「他のスライド」へ移動することも可能だ。

ただし、リンク先を「非表示にスライド」に指定していないことが条件となる。「非表示スライド」に指定したスライドはPDFに変換されないため、「リンク先のスライド」がなくなってしまうと、リンクも機能しなくなる。

以上をまとめると、次のようになる。

・「画面切り替え」や「アニメーション」は動作しなくなる
・「非表示スライド」はPDFに含まれない
・他のスライドへの「リンク」はそのまま機能する
 (※リンク先が「非表示スライド」でない場合)

細かな話ではあるが、念のため、覚えておくと役に立つだろう。

スライドをもとに動画ファイルを作成

「ファイル」タブの「エクスポート」には、スライドをPDF以外のファイル形式に変換する機能も用意されている。これらについても簡単に紹介しておこう。

「ビデオの作成」を選択すると、スライドを動画ファイルに変換することができる。「画質」と「スライドを切り替えるタイミング」を指定し、「ビデオの作成」ボタンをクリックするだけで、動画ファイルに変換することが可能だ。

ただし、「指定した間隔」でスライド表示が変化するだけの、単調な動画しか作成できない。商品やサービスを紹介する効果的な動画に仕上げるには、あらかじめナレーション(音声)を録音しておく必要がある。これについては、次回の連載で詳しく紹介する予定だ。

なお、動画の場合は、次のスライドへ移動するときの「画面切り替え」も再現される仕様になっている。各スライドに指定した「アニメーション」も自動的に実行される。さらに、スライド内に配置したビデオも、問題なく自動再生される仕様になっている。その一方で「リンク」は機能しなくなる。

  • 動画に変換したスライドを再生した様子

プレゼンテーションパックの作成

「プレゼンテーション パック」の項目は、スライドのデータをCDやDVDなどにコピーするための機能となる。スライドからリンクされているビデオやサウンド、フォントなどのデータも一緒にコピーされるため、バックアップ用のデータを保管しておく場合などに活用できるだろう。

  • プレゼンテーションパックの作成

配布資料やノートをWord文書に変換

「配布資料の作成」の項目は、各スライドの「ノート」を含めた形でWord文書に変換するための機能となる。

  • 配布資料の作成

「配布資料の作成」ボタンをクリックすると、以下のような画面が表示される。レイアウトを指定して「OK」ボタンをクリックすると・・・、

  • ページレイアウトの選択

自動的にWordが起動し、以下の図のような感じでWord文書が作成される。なお、この時点ではWord文書はファイルに保存されていない。文書をWordファイルとして保存するには、自分で保存の操作を行う必要がある。

  • Word文書に変換されたノート

上に示した図は、レイアウトに「スライド下のノート」を指定した場合の例となる。「スライド横のノート」を指定した場合は、各スライドの右側に「ノートの文字」が配置される。ただし、ノートの領域の幅が狭く、レイアウトが大幅に乱れてしまうため、実用的なレイアウトとならないのが実情だ。

また、「空白行」を含むレイアウトを指定した場合は、スライドの右または下にメモ欄(罫線)が配置される仕様になっている。

スライドを画像ファイルに変換して保存

「ファイルの種類の変更」の項目は、各スライドを画像ファイルに変換する場合などに活用できる。PNGまたJPEGといったファイル形式を選択して「名前を付けて保存」ボタンをクリックすると、保存先フォルダーを指定する画面が表示される。

  • ファイルの種類の変更

画像ファイルに変換されたスライドは、各スライドが1枚ずつ別のファイルとして保存されるようになっている。

  • 画像ファイルとして保存されたスライド

これらは一般的な画像ファイルと同じように扱えるため、他のアプリケーションでも利用することも可能である。たとえば、スライドの画像をWord文書に貼り付けて再利用する、などの使い方が考えられるだろう。

先ほど紹介した「配布資料の作成」でもスライドをWord文書に変換できるが、かなり癖の強いレイアウトになるため、意外と扱いづらい面もある。スライドを他のアプリで再利用するときは、ここで示した方法で画像ファイルに変換しておくのが最もスマートな方法といえるだろう。こちらの方が使い勝手がよく、応用の効く手法になるはずだ。

今回の連載で紹介したように、PowerPointには「スライドを他のファイル形式に変換する機能」が用意されている。上手に活用すれば、スライドを別の書類などでも再利用できるため、効率よく仕事を進められるかもしれない。頻繁に利用する機能ではないが、こういった機能があることを知っておくと、いずれ役に立つ時がくるだろう。