今回は、PowerPointのヘッダー・フッターについて紹介していこう。PowerPointのヘッダー・フッターは少し独特で、「スライド」と「印刷物」にそれぞれ個別のヘッダー・フッターを指定できるようになっている。その指定方法を含めて、ヘッダー・フッターの上手な使い方や注意点を紹介していこう。
PowerPointのヘッダー・フッター
ヘッダー・フッターは用紙の上下にある「余白部分」を指すもので、用紙の上にある余白を「ヘッダー」、用紙の下にある余白を「フッター」と呼ぶのが一般的である。
もちろん、PowerPointにもヘッダー・フッターを指定する機能が用意されている。ただし、一般的なヘッダー・フッターとは少し趣が異なることに注意しなければならない。PowerPointでは「スライド」と「印刷物」に対して、それぞれ別のヘッダー・フッターを指定する仕組みになっている。
まずは「スライド」のヘッダー・フッターから紹介していこう。スライドのヘッダー・フッターには、「スライド番号」、「フッター」、「日付と時刻」の3項目を指定できる。
上に示した図の場合、右上に「スライド番号」、左下に「フッター」、右下に「日付と時刻」が配置されている。なお、各項目が配置される場所はスライドのデザイン(テーマ)に応じて変化するため、必ずしも上図のような配置になるとは限らない。
続いては、「印刷物」のヘッダー・フッターを紹介する。ここでいう印刷物とは、「ノート」や「配布資料」を印刷した結果、つまり「紙の書類」のことを指している。こちらは、以下の4項目をヘッダー・フッターとして指定することが可能となっている。
念のため、各項目について説明しておこう。印刷物の場合は、左上に「ヘッダー」、右上に「日付と時刻」、左下に「フッター」、右下に「ページ番号」が配置されるようになっている。各項目の位置は、デザインに関係なく固定となる。
スライドのヘッダー・フッター
それでは、ヘッダー・フッターの指定方法を解説していこう。ヘッダー・フッターを指定するときは、「挿入」タブにある「ヘッダーとフッター」をクリックする。
すると、以下の図のような設定画面が表示される。スライドのヘッダー・フッターを指定するときは「スライド」タブを選択し、表示する項目のチェックボックスをONにしていけばよい。なお、「フッター」の部分は、テキストボックスに入力した文字がそのまま表示される仕組みになっている。
特に難しい操作は見当たらないので、初心者の方でも問題なく作業を進められるだろう。ただし、ヘッダー・フッターが配置される場所に注意しておく必要がある。
たとえば、以下に示した例の場合、「フッター」や「日付と時刻」が写真と重なって配置されてしまっている。
ヘッダー・フッターはスライドショーの実行時にも表示されるため、下手にヘッダー・フッターを指定すると、それがそのまま画面に表示されてしまう恐れがある。
以下の図は、「コンテンツの領域」を広くしてからスライドの本文を入力した例だ。この場合、「本文」と「フッター」の文字が重なってしまうため、かなり見づらいスライドに仕上がってしまう。
こういった不具合が生じるケースを考えると、スライドのヘッダー・フッターは使わない方が無難といえる。特に「フッター」や「日付と時刻」などの情報は、スライドに必須の要素ではないため、これらの情報がなくてもスライドとしての役割は十分に果たしてくれるはずだ。よって、積極的に利用したい機能とはいえない。
あえてヘッダー・フッターを使うとするならば、「スライド番号」だけを表示しておくのがベストな選択肢といえるだろう。各スライドに番号を付けておけば、「この部分については、★枚目のスライドを参照してください」などの説明を口頭ですることが可能となる。
ノートと配布資料のヘッダー・フッター
続いては、印刷物(ノート、配布資料)のヘッダー・フッターについて解説していこう。こちらは「ノートと配布資料」タブで指定する仕組みになっている。
基本的な設定手順は「スライドのヘッダー・フッター」と同じで、印刷したい項目のチェックボックスをONにして、「ヘッダー」や「フッター」の文字を入力していけばよい。
それぞれの印刷イメージは、「ファイル」タブにある「印刷」を選択し、印刷レイアウトに「ノート」や「配布資料」を指定すると確認できる。
ただし、印刷物に対してヘッダー・フッターを指定するときは、「日付と時刻」の表記に十分に注意する必要がある。
「ノート」を印刷するときは、「日付と時刻」の設定を「自動更新」にしておくのが基本だ。すると、「印刷を実行したとき」の日付(時刻)が自動的に印刷されるようになる。
発表の準備段階において、ノートに発表用原稿を入力し、それを印刷して確認・校正する、というケースはよくある話であろう。その後、発表用原稿を修正し、もういちどノートを印刷しなおす、というケースも少なくない。
この場合、同じスライドのノートが何回も印刷されることになるため、「どれが最新版なのか?」を一目で判断できなくなる恐れがある。その対策として「印刷を実行したとき」の日付(時刻)を自動的に記録しておくと、後の書類整理をスムーズに進められるようになる。
一方、「配布資料」としてスライドを印刷するときは、「日付と時刻」に「固定」を選択し、発表日の日付を自分で入力しておくのが基本となる。
これを間違って「自動更新」のまま印刷してしまうと、「印刷を実行したとき」の日付が記載されることになる。配布資料を受け取る参加者の目線で見ると、何を示しているのかよくわからない、意味不明な日付が記載されている、という状況になってしまう。
そればかりか、日付を印刷したことがトラブルの原因になってしまう危険性もある。特に、新商品や新サービスを紹介するニュースリリース的な発表では、ヘッダーに印刷されている日付を「発表日」と勘違いされてしまうと、後々、大きなトラブルに発展する可能性がある。
今回の連載で紹介したように、ヘッダー・フッターには意外な落とし穴があることを覚えておく必要がある。スライドにヘッダー・フッターを指定すると「自由に使える面積」が小さくなってしまうし、不用意に日付を印刷すると「トラブルの原因」になる可能性もある。
PowerPointのヘッダー・フッターは、Wordに比べて設定が簡単で、親切に感じる一面もあるが、前述したような注意点があることを忘れないようにしておこう。