企業の法務担当者にとって、取引先との契約書のチェックは重要な業務の一つだ。しかし、いかに法務のプロフェッショナルといえども、頻繁な法改正に対応し、契約書の細かい項目を精査するのは決して楽な作業ではない。

そうした法務担当者にとって救世主とも言えるメディアが「契約ウォッチ」である。運営するのはLegalForce社。AI契約審査プラットフォーム「LegalForce(リーガルフォース)」やAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」を提供するリーガルテック企業だ。

契約ウォッチには、法改正の内容とその施行日を一覧にした「法改正カレンダー」のほか、各種契約の基礎知識や契約締結時の注意事項、用語解説といった記事など、いずれも法務担当者にとって参考になるコンテンツがずらりと並ぶ。企業が運営するメディアと言うと、ともすれば自社サービスのPRに偏りがちだが、契約ウォッチにはそういった宣伝色のあるコンテンツは見当たらない。

LegalForce社が契約ウォッチを開設した意図や、目指す方向性について、同社のマーケティング部にてオウンドメディア運営の責任者を務める梅村玲司氏に聞いた。

  • 梅村玲司氏

    LegalForce マーケティング メディアグロース係 係長 梅村玲司氏

法務に特化したメディアはなぜ生まれたか

きっかけは、LegalForce社の顧客の声にあったという。

同社が、AI契約審査プラットフォームであるLegalForceを展開する中で聞こえてきたのが「法務担当者が法改正に関する情報収集に苦労している」という話だった。

そもそもLegalForceは、契約書をアップロードするだけでAIが不備や抜け・漏れなどを素早くレビューするというプロダクトである。当然、法改正に関する最新情報はいち早くキャッチし、サービスをアップデートしていた。ならば、自社で取得・整理した法改正の情報をわかりやすく伝えられれば、企業の法務担当者の助けになるのではないか。また、そうした情報を発信していることが、LegalForceというサービスの信頼性にもつながるのではないか。

――そういった狙いから、法改正に関する情報を発信するオウンドメディアとして生まれたのが契約ウォッチというわけだ。

企画を立ち上げたのは、同社のマーケティング部にてオウンドメディア運営を統括する梅村氏。2020年4月に入社後、すぐに契約ウォッチの制作に着手することになった梅村氏は、そこから約4カ月という短期間でローンチまで漕ぎ着けた。

サイトデザインはシンプルでありながらもポップな雰囲気を心掛け、羊やねずみなどをモチーフにした可愛らしいオリジナルキャラクターで親しみやすさを演出している。キャラクターたちは記事中にも登場し、対話形式でわかりやすく法律や契約の知識を学べるのが特徴だ。

「法律や契約の話はどうしても難解で、とっつきにくい印象を持たれやすいので、なるべくわかりやすく、読みやすい雰囲気になるようにサイトを作り込みました」(梅村氏)

そんな契約ウォッチのメインコンテンツが「法改正カレンダー」だ。毎月のように実施される法改正のスケジュールが時系列で表示されており、クリックすると各法改正の詳細を解説した記事が読めるようになっている。企業の法務担当者にとって、便利であることは間違いないだろう。

契約ウォッチのコンテンツはそれだけではない。法律・契約に関係する用語解説や基礎知識を解説した記事、各業界におけるトピックを紹介する記事など、新人からベテラン法務担当者、さらには法律のプロである弁護士にとっても役立つコンテンツを幅広く用意している。

「契約書や法律に関する解説記事自体はWEB上に多くありますが、基礎情報から最新情報まで契約書に特化した情報を集約して発信を行っているメディアは他にはあまりないと言ってよいと思います」(梅村氏)