今回は、データを「昇順」や「降順」に並べ替える関数SORTの使い方を紹介する。Excelにはデータを並べ替える機能が用意されているため、「わざわざ関数を使って並べ替える必要はないのでは?」と思う方もいるだろう。しかし、今後、スピルを積極的に活用していくには、関数SORTが不可欠の存在となる。詳しく説明していこう。

関数SORTの基本的な使い方

2019年12月にリリースされたSORTは、FILTERやUNIQUEなどと同じタイミングで公開された関数で、最新版のExcel 2021またはMicrosoft 365でのみ使用できる関数となる。

今回は、この関数SORTを使ってデータを「昇順」や「降順」に並べ替える方法を紹介していこう。今後、「スピルを積極的に活用していきたい」と考えている方は、必ず覚えておくべき関数といえるだろう。

  • スピル出力されたデータの並べ替え、関数SORTの使い方

最初に、関数SORTの書式から紹介していこう。関数SORTの引数には、以下に示した値を指定すればよい。

◆関数SORTの書式
=SORT(配列、[インデックス番号], [昇順/降順], [並べ替え方向])

・配列
データを並べ替えるセル範囲を指定する。このセル範囲は「見出し」を除いた形で指定するのが基本だ。

・インデックス番号
何番目の列(または行)を基準に並べ替えるかを指定する。省略すると「1」が指定されたとみなされる。

・昇順/降順
昇順の場合は「1」、降順の場合は「-1」を指定する。省略すると「1」(昇順)が指定されたとみなされる。

・並べ替え方向
データを並べ替える方向を指定する。行の場合は「FALSE」、列の場合は「TRUE」を指定する。省略すると「FALSE」(行の並べ替え)が指定されたとみなされる。

簡単な例を使って具体的に解説していこう。以下の図は、北海道から愛知県までの「人口」と「人口密度」をまとめた表だ。この表を関数SORTで並べ替えてみよう。

  • 「人口」と「人口密度」をまとめた表 出典:総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた2023」

まずは「人口」の少ない順(昇順)に並べ替える場合について紹介する。第1引数には、データを並べ替えるセル範囲を「見出しを除いた形」で指定する。続いて、第2引数に「基準とする列」を指定する。今回は「人口」の列(2列目)を基準にならべかえるので「2」を指定すればよい。

  • 関数SORTの入力(1)

「Enter」キーを押して関数SORTを実行すると、「人口」の少ない順(昇順)に並べ替えたデータが表示される。

  • 関数SORTにより取得されたデータ(人口の昇順)

なお、関数SORTはデータを配列としてスピル出力するのが基本になるため、関数を入力したセルの下方向や右方向には「十分な広さの空白セル」を確保しておく必要がある。ここに何らかのデータが入力されていると、「#スピル!」のエラーが発生する。注意しておこう。

続いては、「人口密度」の大きい順(降順)に並べ替える例を紹介していこう。この場合は3列目が並べ替えの基準になるので、第2引数に「3」を指定する。また、降順に並べ替えるため、第3引数に「-1」を指定する。

  • 関数SORTの入力(2)

  • 関数SORTにより取得されたデータ(人口の降順)

最後は、データを列方向に並べ替える場合の例だ。この場合は、第4引数に「TRUE」を指定する。今回は、第2引数に「3」、第3引数に「1」を指定しているので、3行目(駅徒歩)の値が小さい順(昇順)にデータが並べ替えられることになる。

  • 関数SORTの入力(3)

  • 関数SORTにより取得されたデータ(列方向、駅徒歩の昇順)

このように関数SORTを使ってデータを並べ替えることも可能だ。とはいえ、Excelには「データを並べ替えるコマンド」が標準装備されているため、わざわざ関数SORTを利用する意味が見当たらない。

普通にコマンドでデータを並べ替えた方が圧倒的に簡単であるし、「元の表」と「並べ替えた表」の2つが存在する、という面倒な状況も回避できる。よって、通常は関数SORTを使用する機会は滅多にないといえる。

スピル出力されたデータの並べ替え

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