Canvaで作成したスライドを「配布資料」として出席者に配りたい場合もあるだろう。このような場合は、スライドのデータをPDFに変換してダウンロードすればよい。そのほか、スライドのデータを「画像」や「PowerPointファイル」などに変換する機能も用意されている。今回は、デザインファイルのダウンロードについて解説していこう。

デザインファイルのダウンロード

Canvaで作成したスライドなどのデザインファイルを、自分のパソコンにダウンロードすることも可能となっている。発表用のスライドを印刷して「配布資料」を作成したり、関係者にメールで送信したりする場合などに活用できるので、ダウンロード機能の使い方も必ず覚えておこう。

  • スライドをPDFや画像に変換してダウンロード

スライドをファイルとしてダウンロードするときは、そのスライドの編集画面を開き、「ファイル」メニューから「ダウンロード」を選択する。

  • 「ファイル」→「ダウンロード」を選択

すると、以下の図のような設定画面が表示される。ここで「ファイルの種類」などを指定すると、Canvaで作成したスライド(デザイン)をファイルとしてダウンロードすることが可能となる。

  • ダウンロード方法の指定

スライドを「PDF」に変換してダウンロード

ということで、具体的なダウンロード手順を解説していこう。まずは、最も利用頻度が高いと思われる「PDF」に変換してダウンロードする方法だ。

PDF形式のファイルとしてダウンロードするときは、ファイルの種類に「PDF(標準)」または「PDF(印刷)」を選択する。

  • PDFの種類を選択

両者の違いは、基本的に“写真の画質が異なる”と考えればよい。「送信用にファイル容量をなるべく軽くしたい!」という場合は「PDF(標準)」を選択すればよい(画質が少しだけ劣化する)。そうではなく、「きれいな画質で印刷したい!」という場合は「PDF(印刷)」を選択すればよい。

ファイルの種類に「PDF(印刷)」を選択すると、以下の図に示したようなオプション設定が表示される。

  • オプションの指定

(1)トリムワークと塗り足し
このオプション設定は、PDFを印刷業者に渡す(商業印刷する)ときに必要となる項目だ。この項目をONにすると、「断ち切り」の位置を示すトリムマークが追加され、背景などが少し外側に拡張されて「塗り足し」されるようになる。

  • 「トリムマークと塗り足し」を指定した場合

印刷業者に渡すのではなく、自分(社内)だけで使うのであれば、「トリムワークと塗り足し」はOFFのままで構わない。

(2)PDFのフラット化
レイヤーを統合することにより、すべての素材を確実に表示(印刷)するための設定項目。この項目は、特に理由がない限りONにしておくとよい。

(3)メモを含む
このオプション設定をONにすると、各スライドの下に「メモ」の文字が配置されるようになる。発表用原稿を印刷して「紙の書類」として手元に置いておきたい場合は、この項目をONにする。単にスライドだけをPDF化したい場合は、この項目をOFFにする。なお、「メモ」については第11回の連載で詳しく説明しているので、よく分からない方はあわせて参照しておくとよい。

  • 「メモを含む」を指定した場合

オプション設定を指定できたら、PDF化するページを選択する。最初はすべてのページが選択されているので、「一部のページを除外したい」という場合のみ、この設定項目を変更すればよい。

  • ページの指定

最後に、カラープロファイル(色の記録方法)を指定する。PDFを画面で閲覧する、プリンターで印刷する、といった一般的な使い方であれば「RGB」のままで構わない。

  • カラープロファイルの指定

印刷用データとしてPDFを印刷業者に渡す場合は、「CMYKに変換するべきか?」それとも「RGBのままでも構わないのか?」を事前に業者に確認しておく必要がある。ただし、「CMYK」を選択できるのは有料プランのCanvaを契約している方のみ、となる。無料プランの場合は「RGB」しか選択できない仕様になっている。

すべての項目を指定できたら準備は完了。あとは「ダウンロード」ボタンをクリックするだけだ。

  • ダウンロードの実行

少し待つとダウンロードが完了し、「ダウンロード」フォルダーにPDFファイルが保存される。あとは、Adobe ReaderなどのアプリでPDFを開いて、閲覧するなり、印刷するなり、各自の好きなように作業を進めていけばよい。

  • PDFとしてダウンロードしたスライド(Adobe Readerで閲覧)

もちろん、PDFをメールなどで先方に送信したり、Webに公開したりすることも可能だ。ファイル容量が大きすぎる場合は、ファイルの種類に「PDF(標準)」を選択してダウンロードを実行するとよい。

長々と詳しく説明してきたが、実際のダウンロード作業はほんの数十秒ほどで完了する。慣れてしまえば、何の苦もなく作業を完了できるはずだ。クラウドに保存されているデータを「一般的なファイル」に変換してダウンロードできる、これもCanvaの大きな魅力の一つといえる。

スライドを「画像ファイル」に変換してダウンロード

PDFではなく、JPGやPNGといった「画像ファイル」に変換してダウンロードする方法も用意されている。こちらは、作成したスライドを「Word文書」に貼り付けて使用したい場合などに活用できる。

  • ファイル形式の選択

ファイルの種類に「JPG」を選択した場合は、以下の図のような設定画面が表示される。画像の「サイズ」や「品質」を設定する項目が並んでいるが、これらの設定を変更できるのは有料プランのCanvaを契約している方のみ。無料プランの方は「画像化するページ」だけを選択できる。

  • ページの指定

続いて、「ダウンロード」ボタンをクリックすると、各スライドを「画像ファイル」としてダウンロードできる。

  • ダウンロードの実行

なお、複数のページをダウンロードした場合は、zip形式の圧縮ファイルがダウンロードされる仕組みになっている。この圧縮ファイルを展開すると、各スライドを個別の「画像ファイル」として扱えるようになる。

  • ダウンロードされたファイル(zip圧縮)

  • zipファイルを展開した様子

JPGやPNGは、多くのアプリが対応している“一般的な画像ファイル形式”といえる。よって、通常の画像ファイルとして自由に扱うことが可能となる。以下の図は、Windowsに付属する「フォト」アプリで画像(スライド)を閲覧した様子だ。

  • 画像ファイルを「フォト」アプリで閲覧した様子

プレゼンテーションの場合、各スライドが1920×1080ピクセルの画像ファイルになるため、ディスプレイの画面解像度と同じピクセル数(縦横比)になるケースが多い。よって、画像を全画面表示することで“疑似的なスライドショー”を実現することも可能だ。

スライドを「PowerPoint形式」に変換してダウンロード

そのほか、スライドを「PowerPoint形式」のファイルに変換してダウンロードする方法も用意されている。この場合は、ファイルの種類に「PPTX」を選択すればよい。

  • ファイル形式の選択

ダウンロードを実行すると、アイコンが真っ白の「PowerPointファイル」が表示されるが、これはサムネイルを作成できていないだけで特に問題がある訳ではない。

  • PowerPoint形式(.pptx)に変換されたファイル

ファイルをダブルクリックするとPowerPointが起動し、スライドが表示されるのを確認できるはずだ。

  • PowerPointで開いた様子

ただし、完璧にPowerPoint形式に変換されるとは限らない。上図の場合、「三角形」の図形に枠線が追加されている……、などの変換ミスが生じている。そのほか、PowerPointとは根本的な仕組みが異なる「アニメーション」も引き継がれない仕様になっている。

このように若干の不具合はあるものの、「Canvaで作成したスライドをPowerPointでも利用できる」というのは、大きなメリットといえるだろう。多少の変換ミスであれば、PowerPoint上で編集して修正することも可能だ。「メモ」に記録した発表用原稿も、そのまま「ノート」として引き継がれている。

状況によっては、Canvaで「テンプレートを適用しただけのスライド」を作成し、それをPowerPoint形式に変換してダウンロードする、といった使い方もアリかもしれない。この場合、すべて編集作業をPowerPointで行うことになるので、Canvaの操作方法を詳しく覚える必要はない。

要するに、Canvaのテンプレートだけを利用して、編集作業はPowerPointで行う、という形になる。実際には、グループ化の解除など、面倒な作業が色々と生じてしまうが、気になる方は試してみるとよいだろう。