「冷房が強い」「給料が安い」「上司とウマが合わない」など、会社生活の悩みは尽きない。給料や上司との関係性はそう簡単に改善できないかもしれないが、中には解決できる悩みもあるかもしれない。本企画は、会社生活でのちょっとした悩みを、3Dプリンタを使って解決することに挑む。


いつも同じ時間に出社して、いつも同じ席に座る。目の前の景色はいつも一緒。そんな毎日に飽き飽きしているオフィスワーカーも多いのではないだろうか。組織改編や人事異動で多少の席替えがあったとしても自分が異動にならないかぎり仕事内容は同じだから大した変化はない。いわゆる営業職であれば外に出る機会も多いだろうが、中には一日中オフィスでデスクに向かい続ける職種に就いている人だっている。

ドラスティックな変化が訪れない会社生活においてモチベーションを高く保ちつづけるのはかなり難しい。もちろん、給料をもらっているのだからモチベーションなんてものはどこか彼方に放り捨てて、会社(もしくは顧客)から求められるミッションを達成するために邁進するのが会社員としてあるべき姿ではある。

しかし、モチベーションが低い状態でこなした仕事と、意欲満点で積極的に取り組んだ仕事では、往々にしてアウトプットに差がでるもの。モチベーションが0になって仕事が全く進まなくなってしまっては、周囲からの評価も著しく下がってしまう。会社や顧客とwin-winの関係を築くためにモチベーションの過度な低下は避けたい。

そこで、筆者はモチベーションの低下を少しでも抑える方策を模索。たまたま近くにいた女性編集者Aに「会社に何があったらモチベーションが下がらないと思う?」とざっくりとした質問を投げかけてみた(女性編集者Aのモチベーションが低いというわけではない)。Aは少し逡巡した後「ラバストですかね…」と答えた。

「ラバスト」とは「ラバーストラップ」の略。ストレートに捉えれば"ゴムのストラップ"ということになるが、そんなものでモチベーション低下を食い止められるはずがない。ここでいうラバストとは、アニメや漫画のキャラクターを描いたゴム製のチャームをキーホールダーにしたものを指す。こうしたアイテムは各作品のファンの間で人気を博しており、お気に入りのキャラクターのラバストを部屋に飾ったりして楽しんでいる。つまり、取材や打ち合わせでヘトヘトになって会社に戻った時に、自分のデスクで推しキャラが出迎えてくれたら、ちょっとはモチベーションの足しにはなるのでは?というわけだ。

ラバストを飾る方法としてメジャーなのが、ストラップ部分を活かしてピンでコルクボードに留めていくスタイルだ。しかし、オフィスでラバストを飾ろうとすると、ピンを刺しても良い壁やボードを備えたデスク環境にあるとは限らない。パソコンの横などにテープで止める手もあるがいささか不格好だ。そこで我々は、写真立てならぬ「ラバスト立て」を3Dプリンタで作ろうと決めた。

こちらがラバスト。これを飾れれば会社生活の目の保養になる

果たしてラバストは立つのか?

筆者と女性編集者Aは3D CADのスキルはないので、今回もCADコンサルタントの草野多恵氏に3Dデータの作成を依頼。 同氏と「ラバストとは何か」「何故ラバストを立てたいのか」という点から念入りに打ち合わせを重ねた。

草野氏が忙しい本業の合間を縫って作ってくれた「ラバスト立て」3Dデータがこちら。ラバストが滑らないように、前方に"ツメ"を配置。また、安定して立つように、背中(ラバストが寄りかかる部分)の角度にもこだわった。

草野氏に作成してもらった「ラバスト立て」の3Dデータ

使用する3DプリンタはXYZプリンティングジャパンの「ダヴィンチ mini w」。デスクトップタイプのコンパクトな3Dプリンタで、オフィスでもガンガン使用できる。

XYZプリンティングジャパンの「ダヴィンチ mini w」

「ダヴィンチ mini w」で出力したものがこちら。前回の「傘タグ」は青いフィラメントで出力したが、今回は白いフィラメントも使用してみた。

出力した「ラバスト立て」

できあがった「ラバスト立て」にラバストを立ててみたところ、見事に成功。この「ラバスト立て」さえあれば、デスクの上にいつでも大好きなキャラを飾ることができる。殺伐としたデスクの風景に飽き飽きしている人は、ぜひ「ラバスト立て」の導入をご検討いただければと思う。

ラバストが立った

デスクでラバストのお迎えを受ける女性編集者A