こんにちは。

10月になっても暑さが残って「いつになったら涼しくなるんだろう? 」と思っていたら、この原稿を書いている日は急に冬のような寒さになってびっくりしています。このまま寒い日々になるのでしょうか…。皆さま、体調管理には十分お気をつけください。

さて、前回の最後に、「製品によってはオンライン チュートリアルが用意されているので、初めて使い始める時に有効ですよ」というお話をしました。今回はそのチュートリアルについてお話しようと思います。

その前に念のため、「チュートリアル」とはどういう意味? ということについて説明しておきます。コンピュータ ソフトウェアにおいて「チュートリアル」と呼ばれるものは、「操作の練習等のためのドキュメントやビデオなどのコンテンツ」を指します。

3D CADのような業務用のコンピュータ ソフトウェアは、初めて使うという時にまず何をすればいいのかといった、はじめの一歩がわからないということが多々あります。ソフトウェアのオンラインヘルプでは、基本的なコマンドのリストとその解説が最初に書いてあることが多いです。しかし初心者は、コマンドの意味がわかっても、それをどのように使えばよいのかがわかりません。

そこでCAD製品の多くは、基本操作の練習ができるチュートリアルを用意しています。そしてそのほとんどが、ユーザーインタフェース上からアクセスできるようになっています。

SOLIDWORKSの場合

ヘルプ内の「SOLIDWORKSチュートリアル」というメニューからアクセスできるようになっています。メニューを実行すると画面右側にチュートリアルエリアが設定され、HTMLでの基本操作手順書が表示されます。

SOLIDWORKS チュートリアル

下図のように画面横にチュートリアルの手順書が表示されます。学習したい項目をクリックすると、そのページが開きます。

SOLIDWORKS チュートリアル

操作手順が記述されており、各操作で使用するコマンドのアイコンが添えられているのでとてもわかりやすいドキュメントになっています。指示されているとおりに操作を続けると、課題の部品形状を仕上げることができます。

SOLIDWORKS チュートリアル

Autodesk Inventorの場合

Inventorの場合は、SOLIDWORKS同様のドキュメント形式のチュートリアルに加えて、動画のチュートリアルが用意されています。

この画像は、ドキュメント形式のチュートリアルを参照しているところです。SOLIDWORKSと同様、画面の右側にHTMLドキュメントが表示され、そこに書かれている通りに作業を進めていけるようになっています。

Autodesk Inventor チュートリアル

Inventorのチュートリアルの特長は、HTML上の手順にカーソルを当てると、その手順で使用するアイコンに矢印が表示されるというものです。アイコンがどこにあるのかわからずに探し回る、ということを避けることができます。

Autodesk Inventor チュートリアル

また、新しい学習を開始する際には新規ファイル作成が自動で行われるので、そもそもどのような状態からその学習を開始するのかを心配する必要がありません。

動画によるチュートリアルもあります。「チュートリアル ギャラリー」というアイコンをクリックすると、用意されている動画によるチュートリアルの一覧が表示されます。数多くのコンテンツがあるので、カテゴリーごと、また操作スキルごとに絞り込みができるようになっており、見たいコンテンツがとても探しやすくなっています。

Autodesk Inventorの「チュートリアル ギャラリー」

これはInventorを起動した直後に表示されるメニューバーです。起動するとすぐに見える「スタートアップ」のタブに、学習のためのコンテンツにアクセスできる「チュートリアル ギャラリー」および「学習パス」というメニューが用意されているので、学習コンテンツを探しやすく、より初心者にわかりやすいユーザーインタフェースになっていると思います。

Autodesk Inventorのメニューバー

3D CADは、はじめの一歩として基本的な操作の流れを学習する必要があります。2D CADであれば「線を描く」、「寸法を入れる」などの個別の操作方法がわかればなんとか図を描くことができますが、3D CADの場合は立体形状を作るまでの基本的な一連の流れを習得しないと、先に進むことができません。

これを踏まえて、CADベンダー各社は新しいバージョンをリリースするごとに効果的な学習ツールを開発していますので、ぜひ利用してみてください。

ではまた次回をお楽しみに!

著者紹介

草野多恵
CADテクニカルアドバイザー。宇宙航空関連メーカーにて宇宙観測ロケット設計および打ち上げまでのプロセス管理業務に従事し、設計から生産技術および製造、そして検査から納品までのプロセスを習得。その後、3D CAD業界に転身し、製造業での経験をもとに、ベンダーの立場からCADの普及活動を行う。現在は独立し、ユーザーの目線に立ち、効果的なCAD導入を支援している。 著書に「今すぐ使いたい人のためのAutoCAD LT 操作のきほん」(株式会社ボーンデジタル刊)がある。