INTLOOP(イントループ)代表取締役・林博文が語る「正社員とフリーランスの高度なIT人材のタッグで課題解決を」

正社員とフリーランスのエンジニアやコンサルタントの混成チームで企業が抱える経営課題を解決する─。私が2005年に創業し、22年に東証グロース上場を果たした当社は、このハイブリッドモデルで大企業や中小企業を中心に生産性の引き上げに貢献してきました。

 高齢化に伴って労働人口が減少し、多くの企業が労働力不足や競争激化、人件費上昇などの課題に直面する「2030年問題」が迫っています。中でもIT人材は最大で79万人が不足すると言われています。大手のシステム会社であっても、優秀なITのスペシャリストを確保することは簡単ではありません。

 一方で労働の多様化が進み、会社の労働環境に縛られることなく、自宅で自由に働きたいと考えてフリーランスになるIT人材が増えています。ただ、フリーランスの人々にも困り事があります。自ら仕事を獲る営業にまで手が回らないという課題です。当社はフリーランスの人たちの営業を代行し、キャリア開発を支援しています。

 フリーランスの人たちは、その身一つで生計を立てています。手を抜いたりしたら一気に仕事はなくなります。そういった緊張感とプロ意識を持った人たちを当社の正社員がフォローし、プロジェクト全体の進捗管理やフリーランスの方々の労働の管理を担っているのです。

 ですから当社には大手のシステム会社から「スペシャリストを貸してください」といった要望が数多く寄せられます。実際、NTTデータなどのシステム関連会社をはじめ、約500社にIT人材を紹介しています。当社が紹介する人材もシステムの内容決定から設計・開発までを管理できる人材が中心です。

 このように当社と他社との違いは、あくまでも当社の正社員という〝人〟が介在する点です。単にマッチングさせるだけではなく、正社員とフリーランスの組み合わせで品質を落とすことなく、希望の予算内で支援することが可能になります。

 1カ月間、優秀なIT人材を1人だけ大手コンサルティングファームに依頼したいと言っても、当社であればスポットでの支援にも対応できます。なぜなら、4万人超の豊富なプロフェッショナル人材のデータベースを保有しているからです。そのため、企業が抱えるほとんどの課題に対応することが可能です。

 そんな中、当社は伊藤忠商事と資本業務提携しました。企業のデジタル変革の需要の取り込みに力を入れている伊藤忠の傘下には、伊藤忠テクノソリューションズなどのシステム開発会社があります。そういった会社にも当社からフリーランスの高度なIT人材を紹介できると思っています。

 もともと私は大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社し、一度はベンチャー企業に転職した後に同社に帰ってきた出戻り組でした。そのときにIT関連のプロジェクトで腕の良いフリーランスの方々と仕事をする機会がありました。

 その際、彼らの多くがフルタイムで稼働しているので、どうしても新規の営業活動ができないという悩みを耳にしました。また、同じ仕事ばかりではキャリアの幅も広がらないという声も聞きました。そういった課題を解決しようと動き出し、当社の起業へとつながったのです。

 当社はフリーランスの優秀なIT人材を活用して個⼈の課題解決から企業の課題解決へと進んできました。我々が次に⾒据えるのは社会の課題解決です。当社自身も変革を生み出し続けていきたいと思っています。

小野圭一・J.フロント リテイリング社長の「人生の転機」【小売業の魅力に気づいたテレビの企画】