【2025年をどう占いますか?】答える人 東日本旅客鉄道(JR東日本)社長・喜㔟陽一

未来の生活のための実験場

高輪で新たな街が誕生

 ─ 経済活動を支える鉄道などを展開する東日本旅客鉄道社長の喜㔟陽一さんの2024年の鉄道事業の振り返りから聞かせてください。

 喜㔟 ポストコロナの日本経済が始動し、鉄道事業にも将来への明るさと力強さの手応えを感じる1年となりました。しかし定期券ビジネスは、コロナ前比で80%を若干上回る水準が天井になっています。出社回帰が言われていますが、都心ではコロナ禍による働き方の変容が定着したと分析しています。

 一方、定期外では、山手線などの近距離移動はコロナ前を上回る流動が出てきていますが、新幹線を中心とした中長距離のお客さまは、24年3月に敦賀まで延伸開業した北陸新幹線は、当社管内と延伸区間の流動が15~20%伸びていますが、全体としてはコロナ前を超えていません。

 ─ 鉄道事業の25年の課題とは。

 喜㔟 23年3月から発売している「オフピーク定期券」のご利用拡大に取り組みます。通常の定期券より、5%のポイント付加を含めて20%の割引商品となっているお得感を、お客さまや企業等の皆さまにご理解いただくよう宣伝展開を強化していきます。

 近距離のお客さまは引き続き好調に推移すると見ていますので、中長距離のお客さま増が大きな課題となります。コロナ禍の影響で出張需要がなかなか回復しない状況ですので、観光需要の創出、特にインバウンドのお客さまのご利用拡大がポイントになってきます。

 ─ 地方創生に欠かせない観光需要の創出には、どのように取り組むのですか。

 喜㔟 地域の皆さまと連携して地域の自然や食や文化などを観光コンテンツに造成し、国内外に発信していきます。

 インバウンドのお客さまで東北に1泊以上されている方は全体の1.5%ほど。伸び代はあります。

 また23年から「復興ツーリズム」を展開し、震災を風化させない学びを通じた修学旅行や社員研修の流動を創出しています。

 ─ 一方で東京都心では高輪の再開発が注目されています。

 喜㔟 25年3月27日に「TAKANAWA GATEWAY CITY」がまちびらきします。このまちの開発コンセプトは、「100年先の未来の心豊かな生活の実験場」です。

 この街に集う企業等の皆さま、国内外のスタートアップの皆さま、そして東京大学やシンガポール国立大学などのアカデミズムが、このまちで共創し、様々なイノベーションを起こすことで、地球的規模の課題、つまり「地球益」の創出に貢献していきます。

 自動運転、空飛ぶ車、ドローンやロボットが縦横に展開します。都市エネルギーとしての水素の可能性にも挑戦します。

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