製造業界が成長するためには、生産性向上と価値創出を実現しなければならない。東京大学大学院 工学系研究科 教授の森川博之氏は、「そのためには現場が意識を持って起点となること、そして部分最適から全体最適に変わっていくことが重要」だと語る。

12月11日~12日に開催された「TECH+フォーラム 製造業DX 2024 Dec. ありたい姿に向かうための次なる一手」に同氏が登壇。時代の変化に対応するために必要な「気付き」や、パーツを組み合わせて価値を創出する「テトリス型価値獲得」など、製造業界が成長するための考え方について語った。

業界全体を上空から俯瞰し、できることに気付く

講演冒頭で森川氏は、現在のデジタル変革の時代においてすべきことは、「1990年代のリエンジニアリングと同じ」だと話した。当時のリエンジニアリングの例となるのがフォードだ。フォードは支払勘定のプロセスが遅くて煩雑であることを解決するため、発注書や納品後の受領書類の提出といったプロセスを省き、物品を受領したときに支払をすることにした。

「面倒な手続きが不要だったことに気付いたのが、リエンジニアリングです」(森川氏)

これを今のデジタルの文脈で言えば、データを全て連携させて請求書などの手続きを不要にし、新しいかたちの支払プロセスをつくるということになる。製造業には研究開発から調達、製造、物流、修理などさまざまな業務があるが、これを上空からマクロに見て、できることに気付くことが重要なのだ。

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