トヨタ自動車のティア1である旭鉄工は、DXにより大きな成果を上げた部品メーカーとして知られている。自社開発のIoTシステムを活用して“カイゼン活動”を行い、年間の収益を10億円も増加させたのだ。さらに現在は、i Smart Technologiesを設立し、そのシステムやノウハウを他社にも提供している。

12月11日~12日に開催された「TECH+フォーラム 製造業DX 2024 Dec. ありたい姿に向かうための次なる一手」にi Smart Technologies/旭鉄工 代表取締役社長の木村哲也氏が登壇。デジタルを活用した旭鉄工のカイゼン活動について詳しく説明した。

自社開発のIoTシステムで製造ラインの問題点を把握

講演冒頭で木村氏は、旭鉄工ではデータドリブン経営を目指し、カイゼンによる残業と休日出勤の削減、デジタルツインによるカーボンニュートラル推進、正確な原価管理といった施策を実施していることを紹介した。

  • 旭鉄工の概要とDXの成果

同氏のカイゼンについての考え方の基本は、「残業のあるラインは利益拡大のチャンス」ということだ。例えば1時間で100個、10時間で1日1000個を製造するラインなら、1時間125個できるようにする。すると8時間で100個できるため2時間の残業が不要になり、労務費は1日で1万円、年間では240万円も削減できることになる。

カイゼン活動のためには、まず、サイクルタイムと呼ばれる製造スピードを算出する必要がある。しかし、人間がストップウォッチで計測するとバラつきも大きく、時間帯による違いも分からない。また、ライン停止の正確な時間や理由なども把握しきれなかった。それをITの力で解決したのが、同社が自社開発したIoTシステム「iXacs」だ。製造ラインにセンサーをつけ、製品ができるごとに信号を送る。その間隔を測ればサイクルタイムが算出でき、信号が来なければ遅れや停止といったトラブルがあることも分かる。

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