北海道大学(北大)は1月6日、ガラスの磨き粉として市販されるなど比較的豊富に存在する安価な資源「酸化セリウム」を活性層とすることで、コバルトやニッケルといったレアメタルを使用した従来のものと比較して、熱伝導率切替幅が2倍以上という高い性能を持つ「熱スイッチ」(熱流の流れやすさを電気的に切替える熱トランジスタ)を実現したと発表した。
同成果は、北大 電子科学研究所のジョン・アロン博士研究員、同・太田裕道教授、 北大大学院 情報科学院の吉村充生大学院生らの研究チームによるもの。詳細は、米国科学振興協会が刊行する「Science」系のオープンアクセスジャーナル「Science Advances」に掲載された。
近年になって熱制御技術の1つとして注目されているのが、電気的に熱流の流れやすさを切り替える熱スイッチだ。電子や光と同様に熱を制御できるようになれば、家庭、自動車、工場などさまざまな場所において“使われずに捨てられている排熱”を有効活用できるようになり、環境問題的の観点から有用だとされる。さらに、熱のコントラストで情報を表示する「熱ディスプレイ」のような、これまでになかった技術に応用することも検討されている。