2025年の年頭にあたり、SCSK 代表取締役 執行役員 社長 當麻隆昭氏は同社役職員向けの年頭挨拶として、以下を発表した。

皆さん、新年あけましておめでとうございます。

昨年は、国内外で数多くの選挙が行われ、各国の政治の行方を大きく左右する年となりました。経済の観点では、政治や戦争などの影響を受けつつも、世界経済はインフレの沈静化などを背景に、底堅い成長を維持しました。国内でもデジタル化やサプライチェーン強靭化に向けた取り組みなどを背景に、企業の設備投資は拡大傾向が続き、日経平均株価は一時期において、バブル期を超える勢いを見せました。

SCSKグループにおいては、グループの総合力強化を目的に、昨年もさまざまな取り組みを進めてきました。1月には為替取引分析業の許可を取得したSCSK RegTech Edge(株)が事業を開始、4月にはセキュリティ事業の集約・移管によるSCSKセキュリティ(株)の本格始動、6月には新しいブランディング拠点「SCSK LINKSQUARE」の開設、10月にはシステム運用事業の集約・移管による新生SCSKシステムマネジメント(株)の誕生や、カスタマーエクスペリエンス領域における経営資源の最適化を目的としたダイアモンドヘッド(株)とSCSKプレッシェンド(株)の合併、そして直近の12月にはネットワンシステムズ(株)との経営統合を前提とした公開買付の実施など、私たちが目指す姿「2030年 共創ITカンパニー」の実現、そして現中期経営計画で掲げる“総合的企業価値”の飛躍的な向上に向け、さまざまな手を打ってきました。

また、外部からも多くの評価を受け、健康経営銘柄に10年連続で選定、健康経営優良法人(ホワイト500)に8年連続で認定、日本経済新聞社が実施するSDGs経営調査では5点満点中、二年連続で星4.5の評価をいただきました。SCSKグループは成長戦略としてのサステナビリティ経営を推進しています。現状の高評価に甘んじることなく、常に社会課題解決を通じた持続的な事業成長を意識して取り組んでいきましょう。人的資本経営の観点においても、経済産業省が主導する人的資本経営コンソーシアムの第3回総会において、日本経済界の名立たる一流企業が登壇するなか、SCSKグループもパネルディスカッションの場に招かれました。これは人的資本経営をベースにした中期経営計画と事業戦略の連動、事業戦略と人材ポートフォリオの連動が評価された証しであり、人的資本経営におけるリーディングカンパニーの一社であることを自負するとともに、SCSKグループの社会的評価も年々向上していると感じています。

我々が属する IT サービス業界においては、今年は経済産業省が唱える「2025年の崖」の当該年、まさにその年ということになります。日本企業のシステム問題は解決されたのでしょうか、経営改革は成し遂げられたのでしょうか。今年以降、我々ITサービス企業がこれまで以上に企業の経営高度化に資するデジタル化に積極的に取り組み、日本企業の競争力強化、ひいては日本経済のさらなる発展・成長に貢献していくべきと、改めて心に刻んでいます。

SCSKグループは、社会が抱えるさまざまな課題を事業視点でとらえ、お客様やパートナー企業とともに、社会課題の解決に貢献するビジネスを創り出すことによって「2030年 共創ITカンパニー」を目指しています。実現にあたっては、従前のビジネスモデルの一つである、お客様個別の要望に応える「受託開発」だけではなく、複数のお客様、あるいは同一業界内で共通に抱える課題や、お客様が潜在的に抱えている課題をも見いだし、自社のサービスをお客様に提案・オファリングすることで課題を解決するビジネスモデルへ変化していくことが求められています。今年はSCSKグループにとって、AIをはじめとする先進デジタル技術の活用、技術知財の創出と活用、多様なステークホルダーとの共創を通じて、「デジタルオファリング集団への変革」の第一歩の年と位置付けています。

来年4月に予定するネットワンシステムズ(株)との経営統合も、この変革スピードを加速させる、きっかけの一つとなり得ると捉えています。高度なITインフラとアプリケーションサービスの融合による新たなデジタルサービスを提供し、ネットワークからセキュリティ、クラウドに至るまで一貫したサービスを実現することで、ITサービス業界における独自のポジションを確立し、業界の雄としての道を切り開いていくことができると考えています。

今年は経営統合を見据えた準備の年でもあります。両社の社員がお互いを尊重し、多様なバックグラウンドやスキルを持った社員が集うことで、新たなアイデアが生まれ、創造性が高まることを期待しています。また、両社の社員および企業文化の融合を加速させるべく、社員同士のコミュニケーション機会を多く持ち、不安や懸念点についても自由に発言、意見交換ができる環境を作っていきたいと考えています。両社の社員一人ひとりが、自分の能力を最大限に発揮できる環境を整備すべく、新たな人事制度の検討も始めます。新しい挑戦、変化を恐れることはありません。我々は、対等の精神による企業合併を経験し、融合を実現してきた実績があります。それぞれの強みを尊重し、組織全体としての成長を目指していきたいと考えています。

また、今年は現中期経営計画の最終年度にあたりますが、事業シフトに終わりはなく、継続して取り組む必要があります。事業シフトが習慣化していくことが重要であることを、社員全員の共通認識としてください。そして、最終年度であると同時に、次期中期経営計画を策定する年でもあります。ネットワンシステムズ(株)の事業組織を交えて、しっかりと議論を尽くし、我々が目指す新しい姿、新しい経営計画、事業戦略を策定していきます。

焦らず粘り強く取り組む姿勢を崩さず、社会のデジタル化を主導するリーディングカンパニーに向けて、着実に前進し、変化に挑みつづけましょう。