2025年の年頭にあたり、 NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEO 森田隆之氏は年頭所感として、以下を発表した。
「安心できる選択肢」の提供者であり続けるために
2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
皆様にとって素晴らしい1年となりますよう、また災害や戦禍に見舞われた方々が1日も早く平穏な暮らしを取り戻せますよう、心より祈念いたします。
旧年中、日本は自然災害や異常気象が度重なり、政治では長く自公過半数だった政権運営に変調が起きました。世界においては、ウクライナや中東における戦いが続き、欧米ではポピュリズムや自国第一主義への歩みを象徴する政権交代が相次いでいます。日本の周辺国においても、様々な面での脅威の高まりや不安定な政治・経済情勢と、見通しのつきにくい状況が広がっています。
私たちの属するテクノロジー産業へ目線を移すと、生成AIの発展が目覚ましく、仕事や生活への影響が現れはじめています。ただ、エネルギー消費に関する問題など課題面も含めて生成AIが社会にどのような変化をもたらしていくのか、まだ誰にもわかりません。
もはや明日に何が起こるのか、予測が不可能な現代。そのなかで何を信じ、何を選択すればいいのかを判断することも、どんどん難しくなっています。国家の在り方や地政学的な状況によっては「選択肢が見えない」状況すらあるでしょう。
このような時代においても、日本は欧米や中国とは異なる形で信頼を得ている国です。この国で生まれたNECグループは、これまでの125年の歴史が示す通り、世界の官公庁や民間企業のお客様から重要な役割をお任せいただいてきました。先のような世界情勢のもと、あらゆる変化の傍らに常にテクノロジーがある時代。最先端のテクノロジーを操ることのできる企業として、私たちには社会の安心を守り続ける責務があると考えています。そして社会にとってNECグループが「安心できる選択肢」の提供者であり続けることが必要だと実感しています。
そのときに大きな力となるのが、私たちの2つのセグメントがもたらす稀有な事業ポートフォリオです。
「社会インフラ」事業は、海底ケーブルを含む通信ネットワーク、航空・宇宙・防衛関連と、日本の経済安全保障において極めて重要な基幹インフラを守り、デジタルインフラそのものを提供してきました。急速に緊張感の高まるサイバーセキュリティなどセキュリティ領域においても日々の安全に貢献しています。信頼のおける国、日本の安心を守り続けているという紛れもない事実は、グローバルにも信頼いただくうえでの裏付けとなり、各国政府・機関からのNECグループへの関心も高まっています。
官公庁、幅広い業界・業種の民間企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する「ITサービス」事業では、お客様の変革を成功に導く価値創造モデル「BluStellar」(ブルーステラ)を軸に、ビジネスを拡大しています。お客様の課題を起点に目指す姿を明確にし、解決するためのプロセスを定め、組織や人材の目指す方向を揃え、実装・保守運用までをEnd to Endに提案し提供する。このサクセスストーリーを予め用意し、実行することで効果的かつ効率的にお役に立つことができます。安心して使える優れたAIの数々や社会インフラ事業において培ったセキュリティ技術、そしてコンサルティングサービスといった多様な技術とノウハウが、BluStellarの個性を豊かにしてくれています。
BluStellarを含む官公庁や大企業向けDXで得た経験と実績は、地方自治体や中小企業などのDXを推進させ日本の発展を支えます。NECグループの強みの一つは、ネットワーク整備や工事といった足回りを含めたサービスをEnd to Endで展開できることです。NECネッツエスアイとNECネクサソリューションズを含めた事業基盤の再編統合を進めていくことにより、日本全国のお客様に対して期待を上回る価値を提供するための体制を整えることができます。
こうした価値提供の根幹にあるもの。それはAIやセキュリティといったグローバルに競争力のある先端技術の研究開発と、自社をテストベッドにしてグローバルパートナーのサービスまで含めて知見を蓄積しつつデータドリブン経営を加速する「クライアントゼロ」の実行です。お客様への価値提供のベースとして自らが「DXに関する技術を使いこなす先進企業」であるべく、最新テクノロジーを操り、ノウハウを充実させ続けます。
絶えずBluStellarを進化させてお客様のDXを、社会のDXを、日本のDXをリードしていく。日本を守り、世界を守り続ける。これらが今後の重要なテーマです。私たちがPurpose(存在意義)に掲げる「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指す」。これに向けてNECグループが果たすべき役割を自覚し、社会価値の提供を加速させたいと思います。
進行中の2025中期経営計画は、最終年度を迎える年になりました。これまで絶え間なく変革を進めてきたことで、業績も社会からの評価も大きく改善しています。私たちは正しい方向に進んでいると考えています。2025年度も、お約束した成果をぜひ市場にお届けしたいと思います。
私が自信を深められるのは、困難も伴う様々な変化を受け入れ、自ら変化に挑戦するNECグループ社員の存在があるからです。グローバルに直接対話を重ねていく中で、Purposeについての本質的な理解が徐々に浸透していることを感じています。引き続きグループ価値最大化のために各社の幹部や社員とビジョンを共有し、それぞれの個性を生かしながら役割を120%果たしてもらえるように、経営に取り組んでいきます。
私たちの変革の歩みは止まりません。私たちは「変わり続けることを、変えない」。中長期的な視点からNECグループの社員1人1人と共に歩むべき方向を定め、さらに前進していきます。これまでの変革で積み重ねてきた成功も失敗も踏まえ、2025年はさらなる成長へ向けた準備を完了させていきたいと思います。
日本電気という社名の通り、日本を代表する、そして世界から信頼され、選ばれる企業となるために。