トランプ政権下でも米国事業に注力していく
─ 成長への意欲を語った日本生命の清水さんでしたが、大和ハウス工業社長の芳井敬一さん、米国事業を拡大していますがトランプ大統領就任の影響をどう見ていますか。
芳井 トランプ大統領下での事業経験が初めてではなく、第1次政権のときには対応できていたということが大きいと思います。
ですから新政権でも米国のルールの下、創意工夫をしながら、しっかり事業を進めていきたいと考えています。
米国のグループ3社(スタンレー・マーチン社、キャッスルロック社、トゥルーマーク社)の社長は米国人で現地の事情に精通していますから、彼らと意見交換しながら進めます。また、米国で集合住宅を手掛ける企業とも業務提携していますから、さらに幅広い事業展開ができると考えています。
─ 大和ハウス工業は事業の幅が広がっていますね。
芳井 当社は戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギーの大きく6事業を展開しています。
さらに今は、すぐに柱にはならないかもしれませんが、スタートアップ企業の支援や社内ベンチャーの立ち上げを進めるなど、新事業を探索しています。
当社は創業者・石橋信夫が掲げ、前会長の樋口武男が引き継いだ「創業100周年の2055年に売上高10兆円」という目標を掲げていますが、今の事業だけでは達成できないでしょうから、新事業は重要です。海外事業や環境エネルギーは、そうやって育ってきました。
─ 日本全体、特に建設業の人手不足は深刻です。どう対応していますか。
芳井 時間外労働の上限規制「2024年問題」への対応は大切です。一方で、働き方の柔軟性を確保していくことも、また大切なのではないかと考えています。実際、若い社員の中には「もっと働きたい」という意欲を持つ人もいます。
現場の技能者の時間管理も厳格に進めていますが、彼らの中にも働く意欲を持つ人達は多いんです。健康管理を徹底しながらも、柔軟な対応が必要になるのではないかと考えています。
─ 国内では物流施設、データセンターへの投資が続きますが、今後の見通しは?
芳井 どちらも伸びると見ていますし、需要は強いですね。一方、これだけ建設費が上がり、働き方改革で工期が長期化する中、我々が自社開発できる強みをさらに発揮できる環境です。自社で土地を仕入れて、開発するという取り組みは今後も進めていきたいと思います。
データセンターは物流のチームに属していましたが、組織を分けることを考えています。自社施工ができるようになったことで、さらに強みを生かすことができると考えています。