「世界最大の生命保険市場である米国に、海外事業の今後の中核となる会社を持ちたかった」ーこう強調するのは、日本生命保険社長の清水博氏。
2024年12月10日、日本生命は米系生命保険会社・レゾリューションライフの買収を発表した。買収金額は約82億ドル(約1兆2000億円)で、保険業界で過去最大規模の買収。
日本生命は19年に初めてレゾリューションに出資、以降3度、段階的に出資金額を増やしてきたが、その間にレゾリューションの経営、同社が手掛けるマーケットの「堅調な拡大について確信に至った」(清水氏)。
レゾリューションが手掛けているのは「クローズドブック」という事業。保険会社が販売停止した商品の保有契約ブロック(クローズドブック)を取得・集約し、バリューアップを通じて収益化するというビジネスモデルのことをいう。
海外において元受保険会社は資本規制や、戦略面で既存契約を切り出し、そこで手にした資本で他の事業領域に投資するというニーズが強い。すでにその市場規模は約1.6兆ドル(約246兆円)にまで達した。
また、これまで日本生命は個人向けのBtoCビジネスを中心に手掛けてきたが、今回の買収で法人向けのBtoBビジネスに大きく踏み出すことになる。
日本生命は24年12月10日に、米生保のコアブリッジへの約5800億円の出資を完了。矢継ぎ早の米系企業への資金投入となった。これまで日本生命は、他の大手生保に比べて海外事業で出遅れていると言われることも多かった。だが清水氏は「そうは思っていない」と反論。これまでアジア・オセアニアを中心に展開しており、北米では小規模な事業展開にとどまっていたからだが、今回世界最大の市場に足場を築いた。
日本生命は24年からの中期経営計画で、35年度までに足元の約7000億円から倍増の約1兆4000億円に拡大させることを目指している。今回の買収は、その重要な一歩となる。