経済産業省が、ガソリンに対する補助金の「出口」に向けて動き出した。12月と年明け1月の2回に分けて補助金を減額し、その後も段階的に縮小する。脱炭素化に逆行するとして批判が根強く、主要国の多くは既に補助制度を打ち切っているが、日本も周回遅れで追随する。
ガソリン補助金は原油価格の高騰を受けて2022年1月に導入された。石油元売り各社に支給し、卸価格を下げて小売価格を抑制する仕組み。当初は同年3月までの時限措置だったが、ロシアのウクライナ侵攻の影響で繰り返し延長されてきた。
現行制度では、168円から185円の間は5分の3を補助し、185円を超える部分は全額を支給。これにより、レギュラー1㍑当たりの店頭小売価格の全国平均を175円程度に抑制する。24年12月5~11日分の補助支給額は15・2円だった。
12月19日には、まず168円から185円までの補助率を半分にし、1月16日にはゼロにする。給油所は一定の在庫を保有しており、補助金減額が小売価格に反映されるには時間差がある。経産省によると、価格は1月中旬までに180円程度、2月中旬までに185円程度へと上昇する見通し。
185円を超える部分は、月の価格変動が5円程度となるよう、1月以降に原則として月3分の1ずつ見直す。実際の縮小ペースについては、「状況を丁寧に見定める」(同省)考え。
22年には各国も相次いでガソリン高騰対策を実施したが、英国と日本を除く先進7カ国(G7)では既に終了。ガソリン需要を下支えすれば、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない電気自動車(EV)などへのシフトを妨げるためだ。
日本も「いつまでも続ける政策ではない」(経産省幹部)として終了時期を模索していたが、物価高騰が続く中で身動きが取れなくなっていた。補助の終了時期はまだ明確になっておらず、出口にたどり着けるか正念場を迎える。