新経済連盟は12月23日、市販薬のネット販売にビデオ通話を義務付ける厚生労働省の案の撤回を求める署名活動を開始した。履歴管理をしたうえで、従来のネット販売の継続を認めるべきとの見解を示した。
厚生労働省は現在、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において、2025年の通常国会に提出することを想定し、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の一部改正案を検討している。若者を中心とする市販薬の濫用が社会問題化したことを踏まえ、濫用等のおそれのある医薬品の販売方法について案を作成している。
これに対して新経済連盟は、履歴管理をしたうえで、従来のネット販売の継続を認めるべきとし、市販薬のネット販売にビデオ通話を義務付ける厚生労働省の案の撤回を求める署名活動を開始した。「Change.org」を活用し、オンライン署名を募る。
撤回を求める主な理由の1つ目には、改正目的を十分に達成できないことを挙げた。入手経路の大半を占める実店舗での対面販売における有効な対応策(履歴管理等)が見送られており、今回の法律改正の動きの背景になっているオーバードーズ対策そのものの実効性を欠いているとの見解を示した。
理由の2つ目には、正使用者の医薬品アクセスを合理的な理由なく著しく制限することになり、国民の健康確保に支障を生じさせる点を挙げ、非対面での購入による適正使用者の利便性を合理性がないまま著しく制限することになるとした。
「大学生や社会人で一人暮らしの若者が20歳未満だとネットで風邪薬などを一切買えなくなる」「大容量の定義次第で、身体不自由なお年寄りや大家族で20歳以上も風邪薬などをネットで一切買えなくなる」「近隣に実店舗がない地方住民等で、ネットでの購入という手段を使わざるをえない人にとっては死活問題である」などの例を挙げ、ネット販売におけるビデオ通話の実施には新たな設備投資が必要である上、ビデオ通話の予約システム等の導入により購入ステップも販売事業者のシステムも複雑になることから、きわめてハードルが高いとし、非対面での提供が事実上困難になる恐れがあるとの考えを示した。