「87.9%が業務自動化を希望」「注文処理と管理の自動化が最多」【エートゥジェイがEC業務効率に関する調査を実施】

エートゥジェイはこのほど、ECサイト運営の業務効率に関する調査を実施し、その結果を公開した。ECサイト運営者の87.9%が業務自動化を希望し、半数以上の回答者が「注文処理や管理業務」において長時間労働で人手不足を補っている一方で、費用面が業務自動化の最大の障壁となっていることなどがわかった。

エートゥジェイは、クラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」を提供している。近年、ECサイトの運営は急速に進化しており、高度な技術と専門知識が求められるようになっている。この進化に伴い、EC分野における優秀な人材の確保がますます重要となっているが、同時に人手不足という大きな課題にも直面しており、EC事業者は業務の効率化のためにさまざまな取り組みを行っている。

このたび、ECサイト運営者が直面している現状と、自動化ツールの導入状況、およびその障壁を把握するため、アンケート調査を実施した。EC事業者がどのような方法で業務効率を向上させているのか、具体的な取り組みや課題を明らかにすることを目的としており、この調査結果をもとにECサイト運営者が直面する課題の解決策を提供し、業務のさらなる効率化と発展の支援を目指す。

調査は7月26日~7月29日に実施し、調査対象はECサイトの運用経験のある全国の20代~50代の男女1000名。

ECサイト運営にかかわる業務の自動化を希望するかをたずねた問いでは、87.9%が業務の自動化を希望すると回答した。

▲ECサイト運営の業務効率に関する調査結果

ECサイト運営にて「時間がかかっていること」と「人手が不足していること」についてたずねた問い(複数回答)では、「時間がかかっていること」の上位は「注文処理と管理」(24.7%)、「データ分析とレポート作成」(24.6%)、「商品登録と更新」(24.2%)。「人手が不足していること」の上位は、「カスタマーサポート」(20.7%)、「マーケティング活動」(20.6%)、「在庫管理」(20.2%)となった。事業者が直面する課題は、「時間がかかる業務」と「人手が不足している業務」で明確に区別できることが分かった。

▲ECサイト運営で「時間がかかる業務」と「人手が不足している業務」

ECサイト運営にあたり自動化したい業務をたずねた問い(複数回答)では、1位が「注文処理と管理」(37.1%)、2位が「在庫管理」(34.6%)、3位が「データ分析とレポート作成」(33.9%)だった。これらの業務は手動で行うと時間と労力がかかり、人的ミスのリスクも高まるため、自動化による効率化が強く求められていると考えられるとしている。

▲ECサイト運営者が自動化を望む業務

自動化したい業務について業種別に見ると、食品業界では「注文処理と管理」が1位で、40%を超える高い割合で自動化が希望される結果となった。これは、冷凍や冷蔵、常温など異なる温度帯での管理が必要なためと考えられ、温度管理が厳格なことから効率的かつ正確に注文処理を行うことが求められ、自動化による業務の効率化が強く望まれているとした。

アパレル業界の1位は、「在庫管理」が44.9%と高い割合で1位となった。季節ごとに取り扱う商品が大きく変わり、トレンドの変動にも対応する必要があるアパレル業界では、在庫管理が非常に複雑かつ重要な業務となっている。適切な在庫管理を行うことで、売れ残りや欠品を防ぎ、ビジネスの効率化と利益の最大化を図るために自動化が求められている。

電子機器業界では。「データ分析とレポート作成」が40.6%で1位となった。SKUが多いにもかかわらず購買頻度が低いため、データの蓄積が遅く、顧客関係管理(CRM)を効果的に運用することが難しいことが原因と考えられるとし、データ分析とレポート作成の自動化により効率的にデータを処理し、より迅速に市場動向や顧客のニーズを把握することが可能になるとした。

▲ECサイト運営者が自動化を望む業務(業種別)

ECサイト運営の自動化にあたり、支援が欲しいと感じる業務をたずねた問い(複数回答)では、「具体的なツールやソフトウェアの提案」(44.8%)が1位で、「コスト削減プラン」(44.6%)が僅差で続いた。事業者は、売上の最大化とともにコストの最小化を目指し、ツールやコストの最適化を求めていることが読み取れる結果となった。

▲ECサイト運営者が自動化にあたり支援が欲しいと感じている業務

人でが不足していると回答した業務について、どのように人手を補っているかをたずねたところ、「カスタマーサポート」「在庫管理」「商品の発送配送手配」「データ分析とレポート作成」「マーケティング活動」においては、「長時間労働」より「ツールの導入」により解決している企業多い結果となり、多くの事業者がさまざまな業務でツールを活用し、人手を補っていることが分かる結果となった。一方、「長時間労働」で解決している割合が高かったのは、「商品登録と更新」(47.4%)と「注文処理と管理」(51.2%)でで、「細かい作業が多く、頻繁に発生する業務で、ツールでは賄いきれず長時間労働にならざるを得ない状況ということが分かる結果となった。

▲ECサイト運営者が人手が不足している業務についてどのように人手を補っているか

自動化するにあたり障壁になりそうなことをたずねた問い(複数回答)では、上位に「費用」「人員や時間のリソース」が挙がった。約半数の回答者がこれらの要因を障壁と感じていることから、自動化ツールの導入に対する経済的、および人的負担が大きな課題であることが明らかになった。

▲ECサイト運営者が業務自動化を進める上で直面している主要な障壁

これらの調査結果を受け、エートゥジェイ メルカート事業責任者/取締役 渡邉章公氏は、「このたびECサイト運営の業務効率化に関する調査を実施しましたが、ほぼすべての業務において改善の余地がある結果となりました。一方で、ツールで代用しやすい領域と、代用し難い領域には差が見られました。在庫管理、データ分析、マーケティングに関しては一般的なツールも増え、特にカスタマーサポートに関しては生成AIを活用したチャットボットなど、進化が加速している領域です」と話した

▲エートゥジェイ メルカート事業責任者 取締役 渡邉章公氏

さらに渡邉氏は、「その反面、ECサイト運営において最も時間を要していると考えられる商品管理、注文管理に関してはまだまだツール化が進みきれてない、要は属人化が強い領域であることがわかります。その理由として、更新頻度の高さ、情報やシステムのサイロ化、不正注文の急増など、あらゆるEC運営特有の課題があげられます。今後EC事業をスケールさせるためにEC事業者側の運営の見直しと同時に、これらの専門性・属人性の高い課題に対してAI等を活用し解決を図るシステムベンダー側の発展にも期待したいです」と考察した。