日本郵便は12月23日、ヤマト運輸に対し、損害賠償等請求訴訟を提起したと発表した。2023年6月に締結した協業について、ヤマト運輸が一方的な停止を通知、合意に基づく義務の存在自体を争う状況になったとしている。求める損害賠償金は120億円だという。
日本郵便とヤマト運輸は2023年6月19日、「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」を締結。物流をめぐる社会課題の解決への貢献を目的として、メール便領域および小型薄物荷物領域で協業を進めてきたとしている。2025年2月までに完全移管し、両領域の荷物の全量を日本郵便の配達網で届ける予定だったという。
この協業について2024年10月、ヤマト運輸から小型薄物荷物領域の運送委託を停止することを内容とした計画変更の申し入れがあったという。日本郵便は、この申し入れを「ヤマト運輸側の一方的な事情」としている。
日本郵便が事業計画に織り込んでいた営業利益(粗利のうち純利益として見込んでいたもの)として約70億円。日本郵便が協業準備のために支出した費用として50億円、合計で120億円を請求するとしている。
協業準備としては、拠点やパレットといった設備投資、移管費用、人員採用など、今回の協業がなければ使用しなかった金額だとしている。
日本郵便の執行役員である五味儀裕氏は、「物流課題解決のためにも、協業の取り組みを成功させたいという気持ちだった。発表時と比べ、市場や環境などの変化はあったと理解はできる。だが、一方的に配達の委託を停止したこと、会社間の約束をやぶられたことは、大変残念な思いだ」と話す。
「損害賠償、法的義務の確認については、しっかりと主張していきたい。どういう形になるかは分からないが、今後も社会課題の解決に向き合っていきたい」(同)と話していた。