既報のように、カイロスロケット2号機の打ち上げは、残念ながら失敗に終わってしまった。しかし、新型ロケット開発がそれだけ困難で難しいことも確か。あのSpaceXも初めて成功したのは4回目の打ち上げで、それまで3回連続で失敗していた。まだまだ諦めて投げ出すようなタイミングではない。ぜひ次回こそ成功してほしいと思う。

  • 初号機より持ち越しだった「校舎の後ろから上昇するロケット」、ついに撮れました

これまでお届けしてきた現地取材レポートであるが、最後の記事では打ち上げ当日(12月18日)の様子を紹介する。カイロスの打ち上げに興味を持ち、次は見学に行きたいという人は、参考にしていただきたい。

3回目の旧浦神小学校の様子

筆者は今回、公式見学場である旧浦神小学校(那智勝浦町)で打ち上げを取材。2回の延期のときの様子は前回のレポートにまとめたので、そちらを参照してほしい。

2号機の打ち上げで見学場へ行くのは、これで3回目。1回目はバス、2回目はJRで移動していたため、3回目は自転車で行くことにした。ちなみに初号機のときも、1回目がJR、2回目が自転車で、その自転車で行った日に打ち上げられたので、これで自転車にした日に打ち上がる確率は筆者的に100%である。

  • そして自転車で行った日に爆発する確率も100%である……

なお、1回目と2回目では、パーク&ライドのバスが運行されていたのだが、3回目はそれがなくなってしまい、バスのチケットがある人もJRで行くしかなかった。そのJRにしても、今回は臨時便が減っていた。ただ今回は平日のため、来場者はかなり少なく、JRの車内もそれほど混まなかったようだ。

  • これはもう1つの公式見学場、田原海水浴場(串本町)の最寄り駅である紀伊田原駅。こちらも特別暖簾(のれん)が飾られていた(撮影:大貫剛氏)

自転車は、好きな時間に自由に行けるのが強みである。とはいえ、あまりギリギリになるのも心配なので、8時20分ころに那智勝浦町の民宿を出発。1時間弱で旧浦神小学校の駐輪場に着いた。この時点では会場はまだガラガラであったが、そのあとのJRで来場者が増え、平日としてはそれなりの人出だったと思う。

  • 途中で見た電光掲示板。ロケット打ち上げの注意というのもレアな風景だ

  • このあたりは本当に景色が綺麗。向こう岸に旧浦神小学校が見えてきた

  • 筆者が到着したのは打ち上げの1時間以上前だったが、会場はまだガラガラ

前回よりかなり減ってはいたものの、出店もあった。前回とはテントが違っていたのだが、お店の人に聞いたところ、主催者側が用意したテントが撤去されてしまったため、自前で用意したのだそうだ。

  • やはり出店があると気分が盛り上がる。感謝しかない

  • とりあえず焼き芋を購入。なんだか食べてばかりのような

  • 来場者は少なかったものの、こてつくんは今回も登場

ついにロケットが飛び立つ!

そしていよいよ迎えた打ち上げの瞬間。今回は会場に大型スクリーンはなかったものの、カウントダウンが始まると、会場はヒートアップ。カウントゼロの声から7秒ほどの沈黙のあと、山の上からついにロケットが飛び出した。初号機では出てくる前に爆発していたので、機体を実際に見るのはこれが初めてである。

三脚に据え置きの打ち上げ4K動画

  • ロケットが姿を現した瞬間

  • あっという間に上昇していった

筆者は、種子島でH-IIAやH3、内之浦でイプシロンなど、さまざまなロケットの打ち上げを見ているが、燃焼ガスの音響については、そこまでは大きくなかったかな? という印象。カイロスはそれより小型であるし、射点が山の向こうに隠れていて見えないという地形もなにか影響しているかもしれない。ただ、それでも十分に迫力は感じられる。

スチールカメラと一緒に動かしているハンディカムの動画

  • 上昇中のロケット。機体は逆光で少し暗い

  • 旧浦神小学校からだと、どんどん遠ざかっていく

  • ドッグレッグターンが始まったかな? というあたりで邪魔者が……(編注:ドッグレッグターンとは、上昇中のロケットが陸地から十分離れたところで飛行経路を曲げること。犬の脚に似た形状になるので、このように呼ばれる)

  • 左上の黒い部分は、ロケット雲の影が見えているところだ

  • 薄雲で見えにくかったのだが、これが異常飛行の痕跡かも

初号機では2回、2号機では3回と、5回目の挑戦で、目的であった「校舎の後ろから上昇するロケット」が撮影できたので、とりあえず筆者は満足である。3号機も見に来ると思うのだが、次はどこから撮影するか、これから考えたいと思う。このあたりは良い風景が多く、公式見学場以外も面白そうだし、悩ましいところだ。

  • 田原海水浴場からは、打ち上げがこのように見えたとのこと(撮影:大貫剛氏)