プログラミング言語を使って自身の秘書アプリを作ってみたり、校正ツールを作ってみたりといろんなツールに生成AIを埋め込むことも可能な昨今だが、得手不得手も当然ある。法律情報に強いものやテクニカルや科学に強いものなど数多くのセグメントに特化したエージェントが今後たくさん出てくることで精度が向上し、さらに豊かな情報に接することが可能になっていく。大きく言えば、多くのサーバーが網の目のように繋がるインターネットの進化がなせる技なのだろう。
2004年11月9日に登場し、さきごろ20周年を迎えたオープンソースのWebブラウザー「Firefox」。インターネット黎明期をけん引したブラウザー「Netscape Navigator 1.0」(1994年)から数えると30年。Mozilla公式ブログではユーザーの声やその歩みをまとめているが、豊富な機能を持つアドオンや広範なカスタマイズ機能を提供してくれるので、筆者もプライベート空間でのブラウジングを中心に利用している。
そんなFirefoxは既報の通り、試験的な試みであるFirefox Labsにおいて、AIチャットボットを追加している。[ツール]メニューの[設定]からFirefox Labsをクリック、ブラウジングのカスタマイズでAIチャットボットにチェックを入れると執筆時では、Anthronic Claude、ChatGPT、Google Gemini、HuggingChat、Le Chat Mistralから選択できるようになっている。
選択するとサイドバーに生成AIチャットのインタフェースがあらわれる。上部のプルダウンメニューから各チャットに切り替えることも可能で、得意分野に応じて使い分けるといったケースでは、すばやく取り廻せる。
表示メニューから選択できるサイドバーは、Firefoxの画面を二分割し、メールやカレンダーやよく使うSaaSなどを"ピン留め"感覚で表示させたり、ブックマークや同期タブ、履歴なども表示できるアシスタント的な役割を担えるエリアでとても重宝するが、ここにAIチャットボットが加わることでさらに使い勝手が向上する。先のFirefox Labsの設定画面の[選択テキストにプロンプトを表示する]にチェックを入れておくと、メインエリアで表示されるWebテキスト選択時にマークが表示される。そして、"要約する" "これを説明する"のメニューが出現する。
シンプルな機能だがこれが便利。ブラウザで調べ物をしていると専門的なものから流行りの新しいものまで、次から次へとわからない概念が出てくる。インターネットは知らないことと繋がる窓口のようなものだ。知っていてもAIなりの別の角度で示す場合もあるので、セカンドオピニオンのような使い方もできる。試験版の機能ではあるが動作も軽快で新たなフロントエンドとして、とてもよさそうだ。革新的な機能を提供し、面白さや便利さでインターネットを広げてきたFirefox。今後もその役割を担うOSSとして期待したい。そう思った次第なのだ。