【ジェイフロンティア、不適切会計による上場廃止を回避】11月に売上水増しなど発覚し役員が辞任

医薬品・健康食品通販のジェイフロンティアが、不適切会計を指摘されて有価証券報告書(有報)の提出が遅れていた問題で、最終期限である12月11日に有報を提出し、上場の廃止を回避したことが分かった。不適切な会計処理の疑いを受けて、ジェイフロンティアでは11月、特別調査委員会による調査を行い、資料を公表していた。

同社では、2024年5月期中に、広告費の運用の名目で、取引先間の商流に入ることにより、売上高を水増ししようとしていた。2024年5月期中に発注した、健康食品などの広告費の一部を、2025年5月期に繰り越して請求するよう、広告代理店に依頼していたことなども分かった。不適切会計を主導していた、専務取締役COOの神戸聡氏は、11月12日で辞任していた。

<1億円超の利益水増し>

調査報告書によると、ジェイフロンティアでは、通販支援を行うヘルスケアマーケティング事業において、複数の不適切会計が確認された。

①取引先の商流に入ることによる、架空の売り上げと利益の計上 ②2024年5月期中の広告費の翌期への繰り越し計上――などだ。

①の売り上げと利益の水増しについては、複数の会計処理で行っていたという。ジェイフロンティアが本来入る必要のない取引先間の商流に入ることにより、ある会社からの業務の発注を、実際の役務の提供なく引き受け、別の会社に委託していたという。

資料上のX社との取引では、実体のない業務による売り上げ8億6400万円超を計上しようとしていた。期初の目標利益の達成が難しくなった際には、架空の利益1億8000万円超も計上しようとしていたという。

別のD社の商流においては、2億6800万円超の売り上げを計上しようとしていたとしている。

調査報告書では、グループ内の複数社で、定期購入商品の前倒しの出荷なども記載された。ただ、これについては、不正な意図のない通常の業務の範囲内の、出荷日の調整だったとしている。

<中村社長と神戸氏の分業>

不適切会計が行われた理由について、ジェイフロンティアでは、役員のコンプライアンス意識の醸成が不十分であったことや、内部通報制度が有効に機能しなかったこと、取締役の役割分担と監視機能が不十分であったことなどを挙げている。

調査報告書では、同社の中村篤弘社長と、神戸前専務取締役との関係性の問題を指摘している。

神戸氏は、健康食品通販大手のキューサイの社長を務めた経験もあり、中村社長が日常的に「立てて」付き合っていたことなどが指摘されている。中村社長が、神戸氏を細かく管理することはなかったそうだ。

実質的に、中村社長と、神戸氏の分業体制の状態ができてしまっていたという。

神戸氏の所管している範囲で、別の損失が起きそうなときには、神戸氏は対策とセットで、中村社長にマイナス情報を伝達するようにしていたそうだ。対策が練り上がるまでに時間がかかり、中村社長への報告が遅れ、対応が遅れたという旨の供述もあったとしている。

ジェイフロンティアでは、不適切会計の対策防止策として、経営責任の明確化や、役員のコンプライアンス意識の向上などを掲げている。