アストロスケールは12月18日、大型の衛星デブリを対象に接近と観測を行う「ISSA-J1(In-situ Space Situational Awareness - Japan 1、イッサジェイ)」のミッションについて、3つに分けられている事業フェーズのうち、機体の基本設計などを実施したフェーズIからフェーズIIへ移行すると発表した。
ISSA-J1は、文部科学省が推進する「SBIR制度」(革新的なスタートアップ等による研究成果を社会実装し、イノベーション創出を促進する制度)における、宇宙分野の大規模技術実証事業(フェーズ3)の中のスペースデブリ低減のための技術開発・実証「軌道上の衛星等除去技術・システムの開発・実証」への取り組みとして2023年10月より進められているもの。大型の衛星を対象デブリとした近傍での撮像・診断ミッションとしており、フェーズIが機体の基本設計や航法センサの開発という段階で、フェーズIIは詳細設計や衛星組立、地上試験、運用準備などの段階となる。交付される補助金は最大63.1億円(税抜)だという。
すでに同社では、先行して2024年2月より進めている商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(Active Debris Removal by Astroscale-Japan)」ミッションにおいて、観測対象のデブリの周辺を回りながらの周回観測や、対象から15mの距離まで接近するなどの取り組みを行っており、ISSA-J1ではこうしたランデブ・接近・観測の対象を大型の衛星デブリとすることで、軌道上サービスの実現に向けた能力と実績をさらに高めることを目指すこととなる。
なお、アストロスケールではISSA-J1ミッションによる技術実証により、軌道上にある大半の大型デブリへのRPO(ランデブ・近傍運用)を可能とする技術の確立を目指すとしている。同事業は最長で2028年3月まで継続される予定だという。