米NVIDIAは12月17日(米国時間)、エッジAIアプリケーション開発向けの開発者キット「NVIDIA Jetson Orin Nano Super Developer Kit」を発表した。2023年春に登場したJetson Orin Nano開発者キットと比較して、性能が最大70%向上しており、価格は499ドルから249ドルへと半額に引き下げられた。

Jetson Orin Nano開発者キットは、小型ながら高性能なAIコンピュータであるJetson Orin Nanoボードを搭載したエッジコンピューティングプラットフォームである。小型デバイスでのAI推論や機械学習アプリケーションを効率的に実行できるよう設計されており、監視カメラやスマートホーム機器などのエッジAIデバイス、ロボットやドローン、IoTデバイスの開発、さらにはAIモデルの開発やテストに活用できる。

今回発表されたJetson Orin Nano Super開発者キットは、基本仕様がJetson Orin Nano 8GBから大きく変わっていない。SoM(System on Module)は、6コアのArm Cortex-A78AE CPU、CUDAコア1024個およびTensorコア32個のGPUを搭載し、メモリは8GB 128bit LPDDR5である。強化点として、新たに25Wで動作する「Superモード」を追加(Jetson Orin Nanoは7〜15W)し、メモリ帯域を68GB/sから102GB/sに拡張した。これにより、AI推論性能が1.7倍、性能が70%向上し、計算処理性能(sparse INT8)は40TOPSから67TOPSに引き上げられた。複数のAIアプリケーションパイプラインの同時実行や高性能な推論が可能であり、また最大4台のカメラをサポートし、従来よりも高い解像度とフレームレートに対応できる。

このAIパフォーマンスを向上させるソフトウェアアップグレードは、Jetson Orin NXおよびOrin NanoシリーズのSoMにも提供される。たとえば、Jetson Orin Nano 4GBの計算処理性能は20TOPSから34TOPSに、最上位のJetson Orin NX 16GBは100TOPSから157TOPSに向上する。既存のJetson Orin Nano開発者キットの所有者はJetPack SDKをアップグレードすることで、Superモードを使用できるようになる。