鳥インフルエンザが今シーズン猛威をふるう可能性が浮上している。農林水産省の調べでは、今年10月17日に北海道の養鶏場で見つかってから、11月21日までに8道県で10件が確認され、採卵鶏など121万羽が殺処分された。過去最悪となった2年前のシーズン(2022年秋~23年春)に匹敵するペースという。
その2年前は、84件で計1771万羽が殺処分された。このため鶏卵が不足して価格が上昇。卵料理を控える飲食チェーンもあり、「エッグショック」とも呼ばれた。
こんな事態を防ごうと農水省は11月21日、鳥インフルエンザの防疫に関する緊急全国会議を開催。この場で都道府県の関係者や全国の鶏卵業者に対し、「緊張感を持ち、危機感の共有を」と強く訴えたのが、11月11日に農林水産大臣になったばかりの江藤拓(64)氏だ。
「自分のところに来ても全くおかしくない、来るぞという覚悟をもって、体制を組んでほしい。『自分のところには来ないだろう』という楽観的な気持ち、これが一番問題だ」
江藤氏は11月12日にあった就任会見で、「日本の農政は大転換が求められている」とアピール。今年の通常国会で、「農政の憲法」と呼ばれる食料・農業・農村基本法改正案が成立したことにふれ、「なぜ改正したのか。それは、これまでの農政を続けても未来にはつながらないためだ」と強調。食料安全保障の強化など基本法の理念を実現するため、必要な予算を確保する考えを示した。
党農林族の中核メンバーがトップに立った農水省。これで日本の農業がどこまで変わるのか注目される。