「サブスク大賞」、グランプリは「AI英会話スピークバディ」 趣味領域のサブスクが台頭

一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会(サブスク振興会)は12月4日、最も躍進を遂げたサブスクリプションサービスを表彰する「日本サブスクリプションビジネス大賞2024(サブスク大賞)」を開催した。グランプリにはスピークバディが運営するAI(人工知能)と英会話ができる英会話アプリ「AI英会話スピークバディ」を選出した。今回のサブスク大賞では、物販系のサービスを展開している企業の受賞が少なかった。

サブスク振興会の前会長で現在は顧問を務める美園直人氏は今年のサブスクサービスのトレンドについて、「もうサブスクが消費者の生活の中に浸透してきていると感じている。どんなサービスが台頭してきても不思議はないが、1つ言えることは、”趣味”の領域にまでサブスクが入り込んでいる」と話す。

「サブスク大賞」では、グランプリに「AI英会話スピークバディ」を選出した。シルバー賞には、MiLが運営する離乳食・幼児食のサブスクサービス「the kindest」、ブロンズ賞にはジギョナリーカンパニーが展開するデジタル資産継承サービス「akareco」を選出した。

グランプリを受けて、スピークバディは「『AI英会話スピークバディ』は開発して10年目になるサービス。振り返るとさまざまな苦労があった。提供開始当初はAIは”うさんくさいもの”と思われていたため、投資家から『必要ない』と言われることもあった。また当時は、AppleやGoogleが雑誌以外のサブスクアプリを認定した年でもあり、サービスリリース前は審査で承認してもらえるのかドキドキしながら開発したことを覚えている。今後もたくさんの人たちに喜んでもらえるクリーンなサブスクビジネスを提供していきたい」と話した。

このほか、特別賞にはZenGroupが運営する文房具の越境ECのサブスクサービス「ZenPop」、ノーティストの野菜取り放題の月額定額制サービス「はたけビュッフェ」、AZ日本AIロボットの「AIロボットのサブスク」、iMedicalの医療通訳支援サービス「MedicalTalk Global」、日本ネット経済新聞賞には知育玩具のサブスクサービス「おもちゃのChaChaCha」を選出している。

<今年の受賞企業の傾向は?>

昨年は食品関係の物販サービスの受賞が多かった。昨年と今年で、受賞企業が大きく変化している。

「もうサブスクサービスは世の中に当たり前に存在しているものである。さらに個人的にサブスクサービスにおいて、『衣食住』は一巡したと思っている。消費者はコロナ禍を経て、もう自分好みの衣食住のサブスクサービスを発見しているだろう。そのため、今回のサブスク大賞では、より趣味の領域、自分が成し遂げたいことを実現できるサービスが目立っている。スピークバディなどがいい例だろう」(美園顧問)と説明する。

▲美園直人顧問

物販のサブスクサービスはもう台頭しないのだろうか。美園顧問は、「また周期がまわって、衣食住の物販サービスに注目は集まるはずだ。そのためにも、これからの企業は黒字体質で盤石な経営基盤を整えていなくてはいけない。直近では、経営状況が厳しい企業も多い。来年のトレンドの予測は難しいが、今年同様、自分の願望を叶えることができ、当たり前だが経営状況が健康である企業が頭角を現すと思っている」と話す。

「サブスク大賞」の表彰式にて、サブスク振興会は、新会長にソーシャルインテリアで代表取締役を務める町野健氏が就任すると発表した。町野新会長は2025年のサブスク振興会の取り組みとして、主に①サブスクビジネスの学習支援②サブスク業界への貢献③サブスクサービスの創出サポートーーに注力すると発表した。

「振興会として、12月に新たに共創型不正情報プラットフォーム『SubsCield(サブスクシールド)』の提供を開始した。『SubsCield』は主に『不正利用』の課題を解決できるサービスで、2025年は同サービスの認知拡大に注力していく。昨年、サブスクサービスに関するガイドラインを策定しており、ガイドラインはユーザーに向けて、今回の『SubsCield』は事業者に向けて提供しており、さらなる健全なサブスク業界に成長できるようサポートしていきたい」(町野新会長)と展望を話した。