とらふぐの養殖・加工・販売を行うふく成は今年11月、ブランドとらふぐ「六福―ROPPUKU―(ロップク)」の販売を開始した。2022年の赤潮の被害を乗り越え、2年ぶりに「六福」を販売できた。平尾有希取締役は「当社の人気商品でもある『六福』を販売でき、待っていたお客さまにようやくお届けできる」と話す。
ふく成は2022年6~9月にかけて発生した赤潮で深刻な被害を受けた。赤潮でプランクトンが大量発生すると、水中の酸素が減少するとともに、魚の呼吸を妨げる。そのため、魚が大量に死んでしまうという。
「当社のとらふぐも赤潮の影響で死んでしまった。2022年に稚魚を含めて死んでしまったため、2022年だけでなく、2023年も商品を販売することができなかった。今年は2023年のときのとらふぐの稚魚が元気に成長したため、販売することができた」(平尾取締役)と話す。
▲2021年の出荷の様子
通常は約3万尾を出荷していた。だが、今年は半分の約1万5000尾の出荷に留まった。
「約1万5000尾は飲食店への卸売りやECサイトでの販売、全てを含んだ数になる」(同)と言う。
ECサイトでの販売は想定よりも順調だという。メルマガでの配信やウェブ広告の活用などは行っていないが、顧客から問い合わせの連絡が入り、順調な販売につながっているという。
「2023年もそうだったが、既存のお客さまから『今年は六福を販売するのか?』と問い合わせをいただく。今年もそのような問い合わせをいただき、『今年は販売する』旨を伝え、スムーズな商品購入につながっている」(同)と話す。
飲食店や料亭への卸売りもふく成の認知拡大に寄与しているという。飲食店によっては、「ふく成の六福」「六福の握り」などと商品名にしたり、メニュー表に記載してもらうことで、気になった消費者からのECサイトへの流入につながっているという。
「やはりとらふぐという商品の特質上、実際に食べてもらわないと意味がない。ウェブの広告で見て写真がきれいですぐに購入しようとは思いにくいだろう。飲食店で食べてもらって、おいしかったから、今度はECサイトで購入してみようかなと思ってもらえることを目指している」(同)と話す。