スペースワンは、12月14日11時に予定していたカイロスロケット2号機の打上げ中止を発表。同社執行役員の阿部耕三氏は、報道陣向けの説明会で「現段階では明日、12月15日11時00分00秒の打上げをめざして調整中だ」と話した。
【更新・追記】同社は1日前天候判断の結果、12月15日11時の打上げに向けて作業を継続すると正式に発表した。同日6時30分頃に、第1回GO/NG判断を行う予定。(12月14日 15時05分)
阿部氏は14日の打上げ中止の理由について、「(同日)10時20分からの打上げに向けた最終判断の過程で、天候を分析した結果、射場上空の高度10km以上の風速の影響が強く、ロケットの打上げには適さないと判断した」と説明。
ロケットは細長い構造のため、横からの過大な加重には弱く、上空で強い風が当たると機体に曲げ荷重がかかって壊れてしまうおそれがある。そのため事前に最新の気象情報に基づいて判断したうえで発射することになるが、阿部氏によると今回カイロス2号機を打上げるには風が強すぎるので危険と判断し、中止に至ったとのことだ。
なお、気象庁Webサイトによれば、12月14日10時時点で射場にほど近い潮岬において、最大風速10.4m(10分平均値)という強風を観測。筆者も記者会見の会場外で、撮影機材が倒れかけるほどの強い風を体験している。ただし阿部氏は、今日の地上の風速は打上げにまったく支障はなく、射場上空(高度10km以上)の風がロケットに影響することを考慮しての打上げ延期判断だったことを、質疑の中で強調していた。
ちなみにロケットの打上げにおいては、氷結層を含む雲が上空にある場合も、機体にダメージを受けるおそれがあるため、事前の確認事項として非常に重要な要素となる。ただし阿部氏は質疑の中で、「打上げ延期の原因は上層部の風速であって、氷結層ではない」と明言していた。
今後については「関係省庁などとの調整を進め、明日の天候も分析している。現段階では明日12月15日11時00分00秒、本日と同様に(2号機打上げに向けた)再調整を試みる」とコメント。「関係各所と詰めており、(おおむね調整は終わっているものの)最終決定にはもう少し時間がかかる。14日15時に改めて公式発表を行う。現段階で100%打上げができるか明言できる状況にはないことをご理解頂きたいが、明日の打上げに向けて全力で臨みたい」と述べた(編注:その後、12月15日11時打上げに向けた作業を継続すると発表済み)。
また一般来場者への思いを問われた阿部氏は、「楽しみにしていただいていた多くの方々には非常に申し訳ない思いだ。皆様への思いに報いるためにも、次はなんとかしっかり打上げたいと考えている」と話していた。