現行の健康保険証の新規発行を停止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に本格移行する12月2日が間近に迫っている。しかしながら、10月時点のマイナ保険証利用率は15・67%に低迷。メリットを感じにくいことや別人データの誤登録問題などが尾を引いている。
同日以降は、マイナ保険証以外の主な資格確認方法として、現行の保険証や、マイナカードを持っていない人などに発行される「資格確認書」も利用できる。各企業の健保関係者からはこの資格確認書が現保険証とそっくりなデザインなことから「保険証が資格確認書に切り替わっただけではないか」との声が上がっている。
現行の保険証が使えるのは有効期限が切れるまでの最長1年間。75歳以上の後期高齢者医療制度は25年7月末、自営業者ら向けの国民健康保険は自治体によって有効期限が異なる。企業健保の保険証は25年12月1日まで使えるケースが多い。
厚生労働省の担当幹部は「マイナ保険証を使えない人が安心して保険診療を受けられるよう、自治体や勤務先の健康保険組合などから、原則申請なしでマイナ保険証を使えない加入者の元へ送られる」と強調する。
資格確認書はカード型やはがき型などがあり、有効期間は加入する医療保険によって異なるが、最長5年間で更新も可能。プラスチック製のカード型で券面の記載事項も現在の保険証と同じだ。
このため、健保関係者から「マイナ保険証への本格移行というより、現在の『保険証』が『資格確認証』に名称変更しただけではないか」との本音も。医療団体の関係者も「受診時に顔認証や暗証番号入力が必要なマイナ保険証より資格確認書の方が都合が良い」と話す。資格確認書の使い勝手の良さは今後、マイナ保険証の普及を押し下げる可能性もありそうだ。