【総務省】NTT法の存廃、両論併記に 審議会が最終報告まとめる

NTT法見直しを議論している情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別委員会は、NTT法の取り扱いについて、廃止と存続の両案を併記した上で、総務省に検討を委ねるとする最終報告書をまとめた。総務書は答申を踏まえ同法の存廃を判断した上で、来年の通常国会に法案を提出する。

 報告書は、存続案を「NTTに関する規律の法体系を維持する点で自然だ」と判断。一方、廃止案に関しても、NTT法の規定を電気通信事業法に移行できれば「規律の一覧性向上につながる」と評価した。その上で、総務省に対し、日本の法体系との整合性を踏まえ検討するよう求めた。政府にNTT株を3分の1以上保有するよう義務付ける規定は、公共性の高い同社の経営安定などのため維持すべきだと明記。固定電話サービスの全国一律提供義務の見直しなども盛り込んだ。

 NTT法を巡っては、自民党が昨年12月、規制撤廃により経営の自由度を上げ、国際競争力を強化する観点から廃止を提言し、これを踏まえた議論が進められてきた。

 しかし、通信大手4社のトップに対して実施した意見聴取では、KDDIの高橋誠社長ら、競合3社の首脳が改めて廃止への反対を表明。廃止すればNTTグループが一体化するなどして市場支配力が強まり、通信料金が高止まりしかねないと強く反発した。

 NTTの島田明社長は「役割はおおむね完遂した」と廃止に意欲的だったものの、競合3社の強い反発や、審議会の議論で廃止論が後退したことなどを受け、現時点で廃止は「できない」との見解を示していた。

 村上誠一郎総務相は、NTT法廃止の可否について「審議会の議論の結果等を踏まえ、NTTに課すべき規律やそれを確実に担保できるような形式も含めて検討していきたい」と述べた。

 一方、自民党内で廃止への議論を主導してきた甘利明元幹事長は衆院選で落選。こうした状況下で、総務省が同法の存廃について最終的にどういった判断を下すかが注目される。

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