SDGsを推進する文部科学省は新学習指導要領に「持続可能な社会の創り手の育成」を掲げ、「持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)」を推進している。教育の現場では、同施策を実現するために様々な工夫が凝らされているが、修学旅行でSDGsを学べるプログラムが実施された。
“「働く」と「ジェンダー」”をテーマに学習できる修学旅行プログラム
マイナビが、中学校の修学旅行向けのプログラムとして開催した特別授業は、SDGsの17目標の「ジェンダー平等を実現しよう」を目的としてジェンダー平等の基本概念や日本の現状、職場のジェンダーバイアスなどについて学ぶもの。“「働く」と「ジェンダー」”をテーマに人材事業を展開するマイナビの行ってきた取り組みなどを通して学習できるもので、新潟市立木戸中学校の2年生6名が参加した。
マイナビの銀座オフィス(歌舞伎座タワー)で開催された特別授業の講師には社長室 サステナビリティ推進部の古藤 梢さんが担当し、世界各国の男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数」をテキストに、国内でまだ達成されていない女性の管理職比率と政治参加などについて解説が行われた。企業の「ジェンダー平等」への取り組み事例としてはマイナビが行ってきた様々な施策も紹介。同社ではグループを挙げて「人権尊重とダイバーシティの推進」を目標に掲げており、その達成のため「社員の男女比」「女性の管理職の比率」の適正化、「男性育休」の取得率の向上、産休・育休からの復帰率向上などに力を入れている。
その結果として就業者の男女比が52:48、育休・育休後の女性の復帰率が89.81%など高い数値を達成した一方で、女性の管理職の割合や男性の育休取得率は共に35%などまだ低い水準であり、今後もこの課題解決のため取り組んでいくことを説明している。
学生自身が直接「働く」ことや「ジェンダー」について考えるための時間として、身近に存在する「男らしさ」や「女らしさ」などの偏見をもとに特定の役割や行動を男女に当てはめてしまう「ジェンダーバイアス」をテーマに自身の行動について考える時間も用意。受講した学生たちからは、自分も無意識にジェンダーバイアスがかかった考え方をしているかもしれないので、地元で今回習ったことをうまく活用していきたいなどの声も聞こえる。
JTBのSDGs教育ソリューションとマイナビのSDGsへの取り組み
文部科学省は、平成29年3月に幼稚園教育要領及び小学校・中学校の学習指導要領、平成30年3月に高等学校学習指導要領で「持続可能な社会の創り手の育成(ESD)」を掲げて以来、教育の現場ではSDGs学習のための様々な取り組みが行われてきた。そんな中でJTBは法人サービスとして中学・高校向けにSDGs教育ソリューションの提供を行っている。同社では、既に「CO2ゼロ修学旅行」などのSDGs関連プログラムを実施しており、今回は新たに人材事業を展開するマイナビと共同で「ジェンダー平等」をテーマとした修学旅行プログラムの提供を実施した形だ。マイナビグループもまた、企業目標として「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。」を掲げて、その実現のためSDGsに力を入れている。
最近では、NPO法人企業教育研究会と共同でキャリア教育のためのオリジナルカードゲーム教材「カードゲームで学ぶキャリア図鑑」の開発と全国の中学校への無償出張授業などを行った他、障がい者雇用活動の一環として、障がいのあるアーティストのための市民芸術祭「アートパラ深川おしゃべりな芸術祭2024」への協賛なども行っている。同社は2024年5月よりサステナビリティ専用のWebページを開設し、展開している活動の報告を行っている。