米Lattice Semiconductorは米国時間の12月10日、「Lattice Developer Conference 24」をオンラインにて開催したが、この基調講演の中で「Lattice Nexus 2プラットフォーム」を新たに発表すると同時に、既存の「Lattice Avantシリーズ」として「Avant 30」ならびに「Avant 50」を追加した事を発表した。これに関する説明会が12月12日、オンラインの形で行われたのでその内容をご紹介したい。
まずPhoto01がそのDeveloper Conference 24のハイライトで、Lattice Nexus 2その他の発表、それとGuest KeynoteとBreakout Sessionから構成されている。
その中で最大の目玉はやはりNexus 2プラットフォームと、その最初の製品である「Certus-N2」(Photo02)、ついでに言えば新CEOであるFord Tamer博士という事になるかと思う。
ちなみにLattice Semiconductor、2018年にAMDのGM&SVPから転じたJim Anderson氏がCEOを務めていたが、今年6月3日に突如退任。同社のCSMO(Chief Marketing and Strategy Officer)を務めていたEsam Elashmawiが暫定CEOに就き、その間に後任CEO探しを行っていた。最終的に9月16日にFord Tamer博士が就任しており、まだ就任から3か月経っていないという状況である。ちなみに突如退任したJim Anderson氏は? というと、同日Coherent Corporation(旧II-VI Incorporated)のCEOに就任している。
まぁそういう事情はともかくとして、そのNexus 2 Platformとは何か? というと、基本的には現在のNexus Platform(~100K LUT)とAvant Platform(今までは700K LUT:今後は300K~700K LUT)の間を埋める製品、ということだそうだ。ただ単にLUTの数を増やすだけでなく、SerDesの強化やDSP性能の向上、セキュリティ強化(Photo03)など、大分構造がブラッシュアップされている。
これに伴い、従来のNexus PlatformはSamsungの28nm FD-SOIでの製造であったが、Nexus 2ではAvant Platformと同様にTSMC 16nmにプロセスが変更された。これはコストとか性能を考えた時に、現時点で一番最適なのはTSMCの16nmであると判断したとの事。
当然であるがこうなると、既存のNexus向けにビルドされたBitstreamは互換性が無くなるし、同じTSMC 16nmといってもAvantとの互換性も無いので、基本的にはフルコンパイルが必要という話である。またメモリとかクロックとかに関しては構造が異なる部分もあるようで、そのままコンパイルを掛けなおすだけでOKではなく、手直しが必要な部分もあるという話であった。
またPhoto03には“内蔵フラッシュメモリ”とあるが、正確には不揮発性メモリを搭載する“SKUもある”という話で、ただその不揮発性メモリが何で、どう搭載するのかについては現時点では説明できないという話であった。
TSMCの16nmでもFlash Memoryが無い訳ではないが、ちょっと普通に使うのは難しい。あるいはピギーバッグ式にFlashを(TSVではなくSiPの形で)3D実装とかもあり得るのかもしれない。またNexusプラットフォーム発表の際には、FD-SOIの特性を生かした高い耐放射線特性が売りの1つであったが、この辺はAvant Platformと同等になっているとの事。詳細なデータは今後出てくる予定、という話であった。
またNexus 2とNexusを比較した場合、同じ動作周波数・同じ回路規模であればやはりFD-SOIを利用したNexusの方が消費電力は下がる模様だ。ただ逆により大規模な回路規模、あるいはより高速動作が必要な場合はNexusでは対応しきない場合があるので、このあたりの損得勘定は難しいところだ。ちなみにNexus Platformは現在8ファミリー、Avantは3ファミリーが存在するが、このNexus/Avantは引き続き提供&新製品の投入予定もある(Photo04)という話で、なのでNexus 2はこの2つの間に入る形(つまり今後、この図は3つに分割される)と考えれば良い。
話をNexus 2に戻すと、Nexus 2はあくまでもPlatformであり、今後はこのNexus 2ベースのCertusやCrossLink、Machのファミリー展開が予定されているとする(Photo05)。
最初に投入されるのは汎用向けのCertus-N2(Photo06)で、65K LUT~200K LUTまで4製品が用意されている(Photo07)。
このCertus-N2対応のRadiantおよびPropelも同日より供給開始となっており(Photo08)、また6種類のSolution Stackのうち4種類もすでに対応している(Photo09)との事であった。
ちなみにそのCertus-N2の性能比較ということで、競合製品との消費電力比較(Photo10、11)および起動時間比較(Photo12、13)。
さらにこの起動時間の短さを生かして、こまめに電源を落とした場合の比較(Photo14、15)も示された。
一方Avantの方だが、こちらは300K LUTのAvant-30と500K LUTのAvant-50が新たに追加された(Photo16)。
製品仕様はこちら(Photo17)となっている。このAvant-30/50も同日サンプル出荷を開始している。