【経済産業省】民間投資促進へ、半導体・ AIに10兆円の公的支援

政府は、半導体と人工知能(AI)の関連産業を育成するため、2030年度までに10兆円以上の公的支援を行うことを決めた。大規模な支援策を複数年にわたって講じる姿勢を示し、民間投資を促進する狙いがある。次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京)への支援が念頭にあり、政府は次期通常国会に関連法案を提出する。

 支援策は、政府が11月22日に閣議決定した総合経済対策に盛り込まれた。次世代半導体の研究開発などを対象に、6兆円程度の補助金や委託費を支出。量産段階の投資などに対しては、政府機関による出資や債務保証で4兆円以上の金融支援を行う。この支援の枠組みにより、今後10年で官民合わせて50兆円以上の投資につなげることを目指す。

 財源として、政府が保有するNTT株などの配当金を収入とする財政投融資特別会計から2・2兆円程度を確保。30年度にかけ、一度に多額の支出が想定されるため、つなぎ国債も発行する。商工中金株式の売却収入や、既存基金の国庫返納金などでも1・6兆円程度を捻出するほか、GX経済移行債も活用する方針だ。

 政府は過去3年間で、半導体分野へ累計3・9兆円の支援を決定した。しかし、毎年の補正予算で費用を計上してきたことから、「場当たり的」との指摘が根強い。計画的な支援の枠組みを示せば、民間事業者の予見性を高める効果が期待できる。

 今後はラピダスへの追加の支援策が焦点。同社は27年の量産開始に向けた資金調達が課題になっており、既存株主などから出資を募っている。政府も出資などによってラピダスの経営への関与を強める考え。補助が野放図に膨らむ事態を防ぐため、政府は第三者を交えて事業の状況を検証し、支援継続の可否を議論する枠組みをつくる。

 ただ、事業の実績がないラピダスへの支援はリスクが大きい。同社の事業が失敗に終われば、融資の焦げ付きなどで国民負担が生じる懸念がくすぶっている。

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