【財務省】「年収の壁」 引き上げ議論 家計支援と財政規律の両立に悩む

年収が103万円を超えると所得税がかかる「103万円の壁」の引き上げやガソリン税のあり方を巡る自民党、公明党と国民民主党の協議を巡り、加藤勝信財務相が守勢に立たされている。

 きっかけは、国民民主の玉木雄一郎代表の不倫報道後の財務省のX(旧ツイッター)の公式アカウント。一部週刊誌による玉木氏の不倫報道を受け、「財務省がわなにはめた」といった”陰謀論”など批判コメントが相次いだ。

 国民民主の主張通り、控除額を178万円まで引き上げると、国・地方で計7~8兆円の減収になるとの試算がいっせいに出回ったことも「増税ありきの財務省のやり方だ」(自民幹部)など反発を招いた。10月の衆院選で自公が少数与党に転落する中、国民への家計支援と財政規律の両立に向けて加藤氏の調整能力が問われている。

 11月15日、加藤氏は財務省への批判コメントに関し「根拠が示されない、いわばネット上の噂についてコメントを申し上げる考えはない」と述べた。

一方、財政や税制など政策的な課題について寄せられた意見については「事実とデータに基づいた議論をしていくことが重要。真摯に受け止める」と強調。加藤氏の周辺は「税制改正では財務省への批判はつきものだ。丁寧に説明していくしかない」と話す。

 一方、22日に閣議決定した総合経済対策では、対策の裏付けとなる2024年度補正予算案の一般会計の歳出規模は13兆9千億円となり、歳出改革は後回しになった形。年収の壁の引き上げについては、引き上げ幅は国民民主の主張する178万円には至らず限定的になる見通しだが、11月28日召集の臨時国会の論戦次第では政府・与党にとって思わぬ展開があるかもしれず、予断は許さない。

【株価はどう動く?】トランプ政権誕生で「史上最大のバブル相場の到来」と「第3次世界大戦リスク」がキーワードに