クラフトビール卸売ECサイトなどを展開するBest Beer Japanはこのほど、Pre-Series Aラウンドにおいて、2.1億円の資金調達を実施した。新たに投資家となったヤマトホールディングス(グローバル・ブレインと共同で設立したCVCファンド「KURONEKO Innovation Fund 2号」を通じて)や、ぐるなびなどの戦略的パートナーを迎え入れ、クラフトビール業界をさらに進化させ、幅広い層にさまざまなビールの味を届けるというミッションのさらなる推進を目指す。
米国のクラフトビールは、国内のビール市場の25%を占めており、規模の小さい醸造所が大手と競争するためのインフラが確立されている。
Best Beer Japanは、日本でも同様の基盤を構築することに取り組み、醸造所の業務を効率化、新しい販路を作り、競争の激しい市場で成功するためのサポートを提供。メーカーがよりビール造りに集中できるよう、醸造所のバックオフィス業務の時間を88%削減できる管理ソフトウェア、物流コストを半分にできる日本初のビア樽シェアリングサービス「レン樽」、飲食店が国内200以上の醸造所からビールをまとめて購入できるB2Bクラフトビールプラットフォームを中心にサービスを展開している。
Best Beer Japanの代表取締役Peter Rothenberg氏は、2026年に予定されている酒税の改正で市場が1000億円以上の規模に拡大すると予測しており、クラフトビールはニッチな存在から日本のビール文化の中心的な要素に変わるとし、「日本のクラフトビール市場は大きな成長の局面を迎えている」と述べた。
クラフトビールの市場拡大のため、Best Beer Japanは卸販売をさらに強化し、ビアバーにとどまらず、一般レストラン、コンビニ、酒屋、さらにはスーパーマーケットへの展開を図るとしている。
11月15日には、Pre-Series Aラウンドで2.1億円の資金調達を実施した。今回の資金調達には、エンジェル投資家2人(ジェイデバイス元代表取締役 仲谷善文氏と非公開の個人投資家)に加え、ヤマトホールディングス(グローバル・ブレインと共同で設立したCVCファンド「KURONEKO Innovation Fund 2号」を通じて)、埼玉りそな創業応援投資事業有限責任組合 (無限責任組合員PE&HR)、ぐるなび、アグリビジネス投資育成が参加した。
いずれもBest Beer Japanとのシナジーが強く、戦略的パートナーとして、ヤマトホールディングスはクラフトビールに特化した物流の協業に参加、ぐるなびは全国の飲食店ネットワークを活用し、より多くの飲食店でクラフトビールを楽しめるよう協力。アグリビジネス投資育成はクラフトビール醸造所の持続可能性を高めることにより地方創生の実現を目指すとしている。
▲楽しく飲んでいるBest Beer Japanの一部のメンバー
Best Beer Japanの「Craft Beer Platform」は、初年度に月間33%の成長を遂げており、今回の調達ラウンドに再度参加し、以前の資金調達でもリード投資家であったPE&HRの代表取締役 山本亮二郎氏は、「スタートアップ投資と飲食業界で20年以上の経験があるが、B2Bプラットフォームとしてはローンチからの成長スピードがもっとも速い」と述べている。
一方で、「黒字破産」のリスクや、チームの燃え尽き、システムの完全リニューアルなどを経ており、Best Beer Japanの代表取締役Peter Rothenberg氏は、「急成長を続けるためには人が必要だが、資金がなければ人を雇うことはできない。そして、資金を得るためには成長を続けなければならない。マイク・タイソンが言ったように、『誰でも計画を持っているが、顔を殴られるまではその通りにはいかない』。スタートアップの世界では、突然の問題に対応する力が重要であり、この数カ月間で様々な困難を一緒に乗り越えたチームを誇りに思っている」と話す。
今後は他の酒類も販売に向けて事業を拡大するとし、メンバーの募集も行っている。