孫正義会長兼社長はエヌビディアとの連携に意欲
「新しい革命にキャッチアップできるのは今だ。逃すわけにはいかない」
ソフトバンクグループ(SBG)会長兼社長の孫正義氏は、米半導体大手エヌビディアが都内で開いたイベントで、同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)と対談。これまでエヌビディアに買収などのアプローチを3回試みたことを明らかにし、今後も同社と連携してAI(人工知能)分野を深耕する考えを示した。
孫会長兼社長の口調を滑らかにさせていた要因の一つは、SBGの業績が回復基調にあること。2024年4―9月期連結決算は最終損益が1兆53億円の黒字(前年同期は1兆4807億円の赤字)だった。世界のAI関連企業に投資する「ビジョン・ファンド」事業が改善し、中間決算としては3年ぶりの黒字。ソフトバンクグループ専務CFO(最高財務責任者)の後藤芳光氏は「この2年われわれも課題と認識し、注視してきたビジョン・ファンドが非常に良かった」と自信を見せた。
SBGは同事業で、生成AI「チャットGPT」の開発で知られる米オープンAIに5億㌦(約770億円)を投資。さらにオープンAIの従業員が保有する株式の最大15億㌦分を買い取ることで追加投資を行うとも取り沙汰されている。
ただ、スタートアップをめぐる投資環境は楽観できない。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に0・5%の利下げを実施し、12月には追加利下げを行うとみられるが「米金利の水準はまだ高い。短期的には新興企業への投資が大きく回復することは考えづらい」(金融筋)。SBGの業績はこれまでも外部環境に左右されており、投資の目利きがあらためて問われる。