丸紅・新社長に大本常務 一度退社した異例の“出戻り組”

「大変身が引き締まる思い。丸紅を次なる高みへ牽引したい」

 こう語るのは、丸紅常務執行役員の大本(おおもと)晶之氏。

 丸紅は常務執行役員の大本氏が社長に昇格する人事を発表した。4月1日付。社長交代は6年ぶりとなり、社長の柿木真澄氏は会長に、会長の國分文也氏は名誉顧問に就く。

 大本氏は1969年9月愛媛県生まれの55歳。92年早稲田大学商学部卒業後、丸紅入社。現在の電力本部へ配属され、コスタリカや中国、トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)における発電事業に従事した。

 その後、一度、同社を退職して、2006年にコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。だが、「自分は事業をやる側の方が楽しい」として、翌年には丸紅に再入社。エネルギー本部や経営企画部を経て、次世代事業開発本部長に就任。22年に執行役員、24年から常務執行役員という足取り。

 足元で丸紅の業績は堅調だ。今期(25年3月期)の当期利益見通しは4800億円(前年同期比1・8%増)。ただ、首位の三菱商事(9500億円)や三井物産(9200億円)、伊藤忠商事(8800億円)の背中は遠い。

今期は成長投資に年間6500億円を充てる見通し。金属や電力、金融・リース・不動産などの事業に強みを持つ丸紅だが、これらに続く収益事業をいかに育てていくか。大本氏の目利き力や手腕が問われる。

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