2024年のキーワードは『趣味大国無双消費』【BEENOSが「越境ECヒットランキング」発表】

BEENOSは12月4日、2024年(1~9月)の 「Buyee(バイイー)」における越境EC販売動向をまとめた「越境EC×ランキング2024」を発表した。越境EC消費キーワードとして「趣味大国無双消費」を挙げた2024年のランキングでは、「トレーディングカード」「アニメ・コミックグッズ」などの人気が伸長した。

BEENOSはこのほど、2024年1月1日から9月30日の期間で、海外向け購入サポートサービス「Buyee」を通じて購入された商品データの購入件数を基準に算出した「越境EC×ランキング2024」の発表会を開催した。

日本は、アニメをはじめとしたコンテンツ、釣り、ゴルフ等のスポーツ・レジャー用品や日用品に至るまでさまざまな領域で趣向を凝らし、質の高い独自性のある商品が当たり前に購入できる「趣味大国」であり、2024年は、ドラマやアニメといった日本発の作品、観光を通じた日本への興味関心の高まり、さらには円安による購買意欲の後押しも相まって、世界中の趣味人が趣味大国日本から独自性の高い商品を購入したとし、2024年の越境EC消費キーワードに「趣味大国無双消費」を挙げた。

「Buyee」の流通総額は継続成長を続け、2024年9月期で過去最高の774億円を突破し、YoYでは+12.5%となった。この成長を支えるのが海外の消費者による旺盛な「趣味大国無双消費」であり、2024年は一時的に為替相場が1ドル160円を突破するなど、海外の消費者にとって越境ECを利用する追い風が吹いた1年だった。

<流通は一時的な円高で減少も再円安で回復>

BEENOSの直井聖太CEOは、「今年7‐9月には一時的に円高に振れたタイミングがあった。その時期は若干、流通が減少する傾向があった。ただ、その後、再び円安傾向になったことで流通は戻っている。今期(2025年9月期)の計画は一番円高に振れている時期に作っており、約10%の流通額の上昇と弱含みの計画となっている。為替の状況により、上振れする可能性は大いにある」と話す。

▲BEENOS 直井聖太CEO

また、1月から10月までの訪日インバウンド数の累計総数が過去最速で3000万人を突破し、2024年7~9月期の訪日外国人消費額は1兆9580億円(2023年同期比41.1%増、2019年同期比64.8%増)と推計され、リアル消費も拡大している。

<日本のソフトパワーが越境ECを押し上げ>

BEENOSはこれまで、日本企業の海外進出を後押しすべく、越境ECサービス「Buyee」の購買データに基づき「世界総オタク化消費」など海外の消費トレンドの発信を続けてきた。「趣味大国無双消費」の源泉は、外国人から見て「魅力的だ」と感じる日本の持つソフトパワーが一因であり、日本の強みであるソフトパワー分野を中心に越境ECの関連性について迫ることで、さまざまな分野で強みをもつ日本企業が、商品の魅力を世界に届けるための一助となることを目指すとしている。

BeeCruise 岩本夏鈴氏は、「日本は早くに経済成長を遂げ、豊かになったことで、趣味も広範囲に広がっている。日本には機能性、独自性、デザイン性など付加価値が高い商品が多い。日本人が愛してきた趣味とそこに向けられてきた熱量やこだわりを求めて、今、海外の人たちが越境ECでそれらの商品を購入している。アニメやゲームだけではなく、ホビー、釣り、ゴルフなどのエンタメやレジャー分野も注目を集めている」と話した。

▲BeeCruise 岩本夏鈴氏

「越境EC×ランキング2024」のカテゴリ別の購入件数ランキングは、1位が「トレーディングカード」、2位が「おもちゃ・ホビー・グッズ」、3位が「アニメ・コミックグッズ」だった。「トレーディングカード」は、2023年のランキングでは4位だったが、国内外で商品人気が高まることで増刷や多様化が進み、市場の流通数が増加。海外ユーザーにとっても購入しやすい環境が進む好循環がうまれ、流通数の増加につながった。

エリア別の購入件数ランキングを見ると、「トレーディングカード」カテゴリーは、北米エリアと東南アジアエリアでもっとも購入されている商品カテゴリとなった。他の4エリア(ヨーロッパ、東アジア、中東、中南米)においても「人気商品カテゴリランキング」トップ5にランクインしており、世界中で支持されていることがわかる結果となった。各エリアとも、ユーザー層が拡大し、男女ともに20代がメインユーザーに入る結果となっている。

前年同期比のカテゴリ伸長率では、1位が「アニメ・コミックグッズ」、2位が「ファッション雑貨」、3位が「トレーディングカード」となった。さまざまな日本のアニメ作品が動画配信サービスなどを通じて世界に届けられることで各地にファンを生み、ファンが自国では購入できないグッズなどを購入するための手段として越境ECを利用することが「アニメ・コミックグッズ」カテゴリの伸長につながった。

エリア別の伸長率ランキングでは、「アニメ・コミックグッズ」はヨーロッパ、東アジア、東南アジア、北米の4エリアで1位にランクインしている。中東、中年米でもトップ3にランクインしており、世界的に高い人気であることがうかがえる。購入数が伸長したユーザー層は、すべてのエリアで10代の男女となっており、2023年の傾向に続いて若い世代の利用が進んでいることがわかる結果となった。

<分野別の人気ランキングを紹介>

分野別の人気ランキングでは、「おもちゃ・ホビー」分野では「ガンプラ」や「ゾイド」などのシリーズが人気の「プラモデル・模型」が1位だった。2位には「リカちゃん人形」や「ドルフィードリーム」などが人気の「人形、キャラクタードール」、3位は「仮面ライダー」シリーズや「スーパー戦隊」シリーズが人気の「ヒーローごっこ、格闘」という結果になった。7位の「カプセルトイ・ガチャガチャ」ではキャラクター商品の人気が高く、10位の「こま」はベイブレードが牽引した。

トレーディングカード分野では、1位が「ポケモンカードゲーム」、2位が「K-POP」という結果となった。「ポケモンカードゲーム」は、まとめ買いやパック購入よりも1枚の指名買いが多く、欲しいカードを購入しているという傾向がうかがえた。一方、「K-POP」では、「Stray Kids」や「aespa」「enhypen」などさまざまなK-POPアーティストのトレーディングカードが購入されている。

飲食料品分野では、海外輸出も好調なお酒(1位)、調味料(3位)、お茶(4位)が上位にランクインする結果となった。

訪日インバウンドにも人気の高いラーメン分野に絞ると、越境ECでの人気ランキングでは、大手の「日清食品」「サンヨー食品」に続き、「マルタイ」「一蘭」「ヤマダイ」がトップ5にランクインした。

ビューティー・ヘルスケア分野では、サプリメントを扱う「DHC」と「FANCL」が1位と2位にランクイン。日本に対する健康、安全、安心といったイメージが伺える結果となった。日本ブランドとしては「資生堂」「CANMAKE」「SUQQU(スック)」「ルベル」「オリヒロ」もランクインし、トップ10の中で7ブランドを占めた。美容家電分野に絞ると、ドライヤーやヘアアイロンなどヘアケア家電の人気が高い結果となった。

カメラ・光学機器の分野では、1位が「フィルムカメラ」、次いで「コンパクトデジタルカメラ」「レンズ」という結果だった。人気メーカーランキングでは、1位が「CANON」、2位が「Nikon」、3位が「OLYMPUS」となり、上位10社の内「ライカ」を除く9社が日本メーカーという結果となった。

自動車・オートバイの分野では、1位が「カーパーツ」、2位が「オートバイパーツ」、3位が「アクセサリー」となった。人気の「カーパーツ」では、外装品や内装品、エンジン部品などが購入されている。人気メーカーランキングでは、「ホンダ」「トヨタ」「日産」の自動車メーカーに続き、4位にカーナビゲーションを販売する「パイオニア」がランクインした。

ファッション分野では、レディス・メンズともにアパレルのトップスが人気を集めた。国・年代・性別ごとに購入者をセグメントし、セグメントの購入金額をもとにしたコアユーザーランキングでは、アメリカの20~40代の男女が上位を独占する結果となった。

音楽のJ-POP分野では、Adoがもっとも人気となり、初音ミク、乃木坂46が続いた。2024年8月に発表した上半期のランキングからの変化として、YMOやシンガーソングライターの美波が新たにランクインしました。音楽分野のCD、レコード、カセットの購入割合では、レコードの購入件数が21.5%となった。

「本・雑誌」カテゴリでは、1位が「漫画、コミック」、2位が「アート・デザイン・音楽」、3位が「趣味・スポーツ・実用」という結果となった。漫画作品のランキングは、1位に「ドラゴンボール・鳥山明」、2位に「ハイキュー!!」、3位に「ワンピース・尾田栄一郎」がランクインした。

マンガの上位3作品の購入国は、「ドラゴンボール・鳥山明」がスペイン、「ハイキュー!!」が台湾、「ワンピース・尾田栄一郎」はアメリカからもっとも購入されており、国ごとに異なる作品が人気となっている。

2023年に第1期が放送されたアニメ作品のうち、2023年と2024年の購入件数を比較した伸長率ランキングでは、「マッシュル」が前年比950%で1位となった。2位には「葬送のフリーレン」、3位には「薬屋のひとりごと」がランクインした。1位から4位の作品は2024年まで放送期間があるが、5位の「新しい上司はど天然」は2023年に放送を終了しており、その後も海外の消費者には作品の人気が継続していることがわかる結果となった。

スポーツ・レジャー・アウトドア分野では、1位が「釣り」、2位が「ゴルフ」、3位が「アウトドア」という結果となった。釣り具の人気ブランドランキングでは、「シマノ」「ダイワ」「メガバス」など日本ブランドが4位のアブガルシアを除きトップ10中9つを占めた。

ゴルフブランドの人気ランキングでは、1位が「テーラーメイド、2位には日本の「ミズノ」がランクインした。「本間ゴルフ」「プロギア」「ダンロップ」「三浦技研」もトップ10入りし、トップ10中、5つを日本ブランドが占める結果となった。

番外編として、日本から越境ECで世界の商品を購入できるサービス「セカイモン」のデータから、海外で活躍する日本人野球選手の人気ランキングを作成したところ1位は大谷翔平氏となった。

趣味大国である日本には、海外の消費者から見て魅力的な商品が多数流通している。アニメやマンガ、音楽などのコンテンツ分野はもちろん、飲食料品、自動車、釣りやゴルフなどレジャーなど、さまざまな商品分野で日本ブランドは人気を保持している。

インターネットは、拡大する世界経済と日本市場をつないでおり、海外の消費者は自国で買えないなどの理由から越境ECを利用して日本から商品を購入できる。

BEENOSグループは、これまで越境ECのリーディングカンパニーとして多くの日本企業の海外進出をサポートし、海外の消費者にとっても利用しやすいサービスの開発に取り組んでいる。今後も日本企業が手間や負担なく利用できるサービスの提供と改善に努め、海外市場を日本企業が取り込むための支援を続けていく考えを示した。