アドビはこのほど、2024年のサイバーウィークのオンラインショッピングデータを発表した。「Adobe Analytics」のデータによると、「サイバーマンデー」(12月2日)のオンライン売上は、前年比7.3%増の133億ドル、サイバーウィークは前年比8.2%増の411億ドルに達し、過去最高を記録した。
ホリデーシーズンの内、「感謝祭」(11月28日)~「ブラックフライデー」(11月29日)を経た「サイバーマンデー」(12月2日)までの5日間はサイバーウィークと呼ばれている。
アドビはこのほど、分析ソリューション「Adobe Analytics」を通じて得られた、米国の小売りサイトへの1兆回以上の訪問、1億個のSKU、18の製品カテゴリーから得たデータに基づいた、2024年サイバーウィークのオンラインショッピングデータを発表した。「Adobe Analytics」は、米国のインターネット小売業者上位100社の大半が、オンラインでのショッピング体験の提供、測定、パーソナライゼーションのために利用している。
「サイバーマンデー」のオンライン売上高は133億ドルで、前年比7.3%増となり、アドビの当初予想の132億ドルを上回った。ピーク時(米国東部時間午後8時~10時)には、毎分1580万ドルが消費されたことになりる。サイバーマンデーが史上最大のオンラインショッピングの日であることに変わりはなく、エレクトロニクス(ピーク時は表示価格から30.1%オフ)、玩具(同26.1%オフ)、アパレル(同23.2%オフ)、テレビ(同21.8%オフ)、コンピュータ(同21.5%オフ)などのカテゴリーで大幅な値引きが行われた。
サイバーウィーク(11月28日~12月2日)全体を通じてのオンライン売上高は、前年比8.2%増の411億ドルを記録した。これは、「感謝祭」(61億ドル、前年比8.8%増)、「ブラックフライデー」(108億ドル、同10.2%増)、11月30日と12月1日の週末(109億ドル、同5.8%増)の売上高が記録的だったためとし、アドビはホリデーシーズン全体(11月1日~12月31日まで)のオンライン売り上げ高が、前年比8.4%増の2408億ドルになると予想している。
サイバーウィークが終わると値引き率はピークより下がるが、今後数週間にわたってセールが続くことが予想されており、コンピュータ(表示価格から最大18%オフ)、玩具(同18%オフ)、エレクトロニクス(同17%オフ)、テレビ(同17%オフ)、アパレル(同17%オフ)、スポーツ用品(同16%オフ)、家電製品(同14%オフ)など、2024年12月いっぱいはお買い得な状況が続くと予想される。
Adobe Digital Insights担当の主席アナリスト、ヴィヴェク パンドゥヤ(Vivek Pandya)氏は、「サイバーマンデーは引き続き、ホリデーシーズンおよび年間最大のオンラインショッピングの日となりましたが、前年比成長率は感謝祭とブラックフライデーの両日が上回りました。サイバーマンデーがホリデーシーズンの目玉商品を狙う買い物客にとって『ラストチャンス』としての役割を果たす一方で、早期に実施された値引きが十分に強力だったため、多くの消費者がサイバーウィークの早い段階で安心して購入ボタンを押したと考えられます」と述べた。
【Eコマースのカテゴリー別売上高について】
「サイバーマンデー」のカテゴリー別売上高では、「玩具」が断然のトップとなり、2024年10月の平均的な日と比較して、オンライン販売が680%増加した。 その他の需要の高かったカテゴリーには、「パーソナルケア製品」(オンライン販売が530%増)、「宝飾品」(同478%増)、「家電製品」(同464%増)、「エレクトロニクス」(同452%増)、「アパレル」(同392%増)などがあった。
サイバーマンデーでもっとも売れたのは、「Elf on the Shelf」(エルフ人形)、「ハリー ポッター」の玩具やフィギュア、カードやボードゲーム、ぬいぐるみや人形、「レゴ シティ セット」、工作や科学キット、100周年記念のディズニー限定フィギュアパックなどの玩具だった。
ゲーム機の売れ筋は「PlayStation 5」「Xbox Series X」「Nintendo Switch OLED」「Meta Quest」で、ゲームソフトの売れ筋は「マリオカート8 デラックス」「ゼルダ」のゲーム各種、「NBA 2k25」「大乱闘スマッシュブラザーズ」などだった。
「サイバーマンデー」のその他の売れ筋商品には、コンピュータやノートパソコン、デジタルカメラ、テレビ、Bluetooth対応ヘッドフォンやスピーカー、スキンケアセットや化粧品、格安アパレル、電動スクーターや電動自転車、ギフトカード、宝飾品、スマートウォッチなどがあった。
【サイバーマンデーのその他のインサイト】
「サイバーマンデー」のその他のインサイトとしては、「モバイルショッピングの大幅な増加」「後払い決済の大幅普及」「消費者による生成AIの活用」「SNSインフルエンサーの存在感の高まり」を挙げた。
「サイバーマンデー」では、オンライン販売の57%がモバイルデバイス経由で行われ、76億ドル、前年比13.3%増の売上を記録した。2019年の「サイバーマンデー」のオンライン販売では、デバイスモバイルは33%に留まっており、消費者がより小さなスクリーンでの買い物に慣れてきたここ数年でモバイルショッピングが大幅に増加している。
2024年の「サイバーマンデー」では、後払い決済(BNPL:Buy Now Pay Later)の利用が9億9120万ドル、前年比5.5%増と過去最高を記録し、これにはホリデーシーズンにおいて、消費者がより融通のきく支払い方法を求めたことが背景にあると分析した。後払い決済の大部分はモバイルデバイスで行われており、「サイバーマンデー」では75.2%を占めた。
生成AIを搭載したチャットボットも、ホリデーシーズンにおいて大きな存在感を示した。「サイバーマンデー」には、チャットボットからの小売サイトへのトラフィック(チャットボットを通じてリンクをクリックし小売サイトを訪問したユーザー数)が前年比で1950%と大幅に増加。ユーザー数はまだ少ないものの、この急増はチャットボットが、消費者にとってお得な商品を見つけたり、商品を素早く検索したりするショッピングアシスタントとしての役割を果たしていることを示しているとした。
アドビは、米国の小売サイトでの買い物に消費者を誘導するマーケティングチャネルの動向を追跡おり、SNSインフルエンサーを含む「アフィリエイトおよびパートナー経由」の収益シェアは、「サイバーマンデー」では20.3%となり、前年比6.8%増となった。アドビのデータによると、インフルエンサーが消費者を購買に導く効果(インフルエンサーのコンテンツを見た後に商品を購入する人の割合)は、ソーシャルメディア全体の6倍に上ることも示されているとした。
【2024年のホリデーシーズン全体について】
2024年のホリデーシーズン全体においても、好調なスタートを切っている。シーズン開始(2024年11月1日)~12月2日までの期間で、消費者はオンラインで前年同期比9.0%増の合計1315億ドルを消費している。モバイルショッピングはオンライン販売の53.1%を占め、売上高は前年同期比14.1%増の698億ドルに達した。
今シーズンは、オンライン支出の半分以上を「エレクトロニクス」(301億ドル、前年比10.6%増)、「アパレル」(246億ドル、同9.5%増)、「家具」(162億ドル、同6.6%増)の3つのカテゴリーが牽引している。目立った成長を見せたその他のカテゴリーには、「食料品」(115億ドル、同13.8%増)、「スポーツ用品」(52億ドル、同6.3%増)、「化粧品」(48億ドル、同8.1%増)、玩具(44億ドル、同5.7%増)などがある。
今シーズンに観測された大幅な値引きも、買い物客がエレクトロニクスや家電製品、スポーツ用品などの高額商品を購入するきっかけとなり、結果としてEコマースの成長を後押しした。今シーズン(11月1日~12月2日)では、もっとも高額な商品の販売数シェアが28%増加しており、カテゴリー別に見ると、「エレクトロニクス」では86%増、「スポーツ用品」では63%増、「家電製品」では59%増、「パーソナルケア製品」では33%増、「玩具」では21%増となっている。
【インフレの影響について】
今シーズンの堅調な消費者支出は、新規の需要増加によってもたらされており、価格の上昇によるものではないとした。「Adobe Digital Price Index」によると、Eコマース価格は26カ月連続で下落しており(2024年10月には前年同月比2.9%減)、オンラインデフレが考慮された場合には、消費者支出層総額はさらに高い伸びを示すだろうとの見解を示した。