20年以上前だろうか。こんなにも"窓"を開くことは無かったように記憶している。DreamWeaverやホームページビルダーなどのソフトウェアを使って、掲示板が数千あるWebサイトを構築していたが、せいぜい5、6のウィンドウを開いていただけであった。現在では知らない間に、タブを含むと余裕で20ちかくのウィンドウをデスクトップ上で開いていることになる。
当時はソフトウェアやブラウザをいくつか開くとPCがかたまった。"フリーズ"というやつである。すぐにCtrl+Alt+Delキーで再起動。これを一日に何回も繰り返す日々を過ごすことになる。作りかけのhtmlファイルやチャットや掲示板のCGIファイルが、一気にゼロへと消滅する。そして同じことを繰り返すことに途方に暮れる。
現在では、端末のスペックが比較にならないほど上がっているため、フリーズが滅多なことではに起こらない。時間を飛び越えたとても大きな恩恵なのだが、その代わりに、把握するのが困難なほどにウィンドウが開く。SaaSなどに代表されるWebアプリケーションの浸透やSNSやSlackやTeamsなどによる伝達やオンライン会議、動画による娯楽やリスキリングと詰まるところ、情報化が進んでいるためだ。これだけ開いていると大げさではなく、認知に負荷が生じるように感じてしまう。
一方で、最近購入した本が面白かった。Appleのフェローも経歴にある認知科学者のDonald ArthurNorman(ドナルド・アーサー・ノーマン)氏のベストセラー「The Design of Everyday Things」では"Norman doors"を皮切りに、ヒューマンセントラルなデザインの深淵を説いている。とても単純な機能しかないドアのノブだが、押すのか?引くのか?がわからない場合がないだろうか。押してみると微動だにせず、ガツン。"あっ"引くのかと気付く。ドアノブをフラットなプレート型にすれば、それは押すことしかできないために迷わない。とてもシンプルだがスマートな発想だ。あのシンプルなドアノブのデザインには、そんな配慮があるとは思いもしなかった。見た目に派手で豪華なドアより、こういった迷わないデザインやスマートを追求する。
辞書機能も加わっていたKindle PC版で読んでいるうちに、デスクトップにおける"Norman doors"は無いものか?と調べてみるとWindows 11に搭載されているスナップレイアウト機能のショートカットWin+Zの可能性に気が付いた。以前にも触れたことがあるが、グループ化とショートカットキーを融合することで迷いにくいレイアウトを構築できる。Win+Z(※スナップレイアウト機能は、Windows11のシステム→マルチタスク→ウィンドウのスナップを「ON」にしておく必要がある)ではあらかじめ定められた9つのレイアウトが右上に表示される。
ここから好みに合わせて1から9の番号を押し、起動しているソフトを選択するとそのレイアウトに配置されるわけだが、一度設定したレイアウトは「スナップグループ」として認識される。ここで大事なのはAlt+TabキーのWindowsのウィンドウ切り替え機能でグループを呼び出せることだ。複数グループを認識できるため起動している多くのソフトウェアをレイアウトと紐づけられる。