総務省は11月11日、SNSなどにおける、なりすまし型「偽広告」への対応について、メタら5社に実施したヒアリングの総括を公開した。不適切な広告による被害として、デジタル広告自体の信用の低下や、広告主が意図しないブランド価値毀損などもあることから、質の高いデジタル広告の流通に向けた課題への対処について検討を進めている。
メタ、グーグル、LINEヤフー、TikTok、Xからヒアリングした、広告出稿時の事前審査や「偽広告」の事後的な削除などにおける取り組みについてまとめた。ヒアリングの内容を受け、総務省は適切な広告を適切に届ける「質の高いオンラインメディアの広告配信」の実現に向け、広告主や経営陣に向けたガイドラインの策定を進めている。
ガイドラインには具体的な対策として、①掲載したくない配信先のリストアップ(ブロックリスト) ②掲載した配信先のリストアップ(セーフリスト) ③メディアと広告主を限定したクローズドな広告の取引市場(プライベートマーケットプレイス)の活用 ④アドベリフィケーション(広告検証)ツールを活用したリスク対策――などを盛り込む考えだ。
「デジタル広告の信頼を守るためにも、出稿時の審査は厳しくなるだろうが、まっとうにやっている事業者であれば問題はない。運用型デジタル広告の利用により、出稿した媒体を把握しきれていない事業者も多い。不適切な媒体に広告を載せてしまうことは、デジタル広告全体の信頼を下げることにもつながってしまうので注意が必要だ。広告主や消費者の意識調査もしていくので、ぜひ協力してほしい」(総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 企画官 吉田弘毅氏)と呼びかけた。