越境EC成長率1位は「メンズ アパレル」【「eBay」が「2024年第3四半期 越境ECレポート」公開】

世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」への出店を通じ、日本セラー(販売者)の越境ECを支援するイーベイ・ジャパンは11月29日、2024年第3四半期(7~9月)の日本セラーから出品されたアイテムの販売動向を発表した。「メンズ アパレル&バッグ ブランド小物」「自動車パーツ」「デジタルカメラ」の売れ行きがよく、米国経済の堅調推移が持続する見込みから、第4四半期と2025年第1四半期も対米ECの盛り上がりに期待できるとの見解を示した。

イーベイ・ジャパンは、「eBay」における日本からの越境EC取引に関するデータを「2024年 第3四半期 越境ECレポート」として公開した。売れ行きの商品には、「メンズ アパレル&バッグ ブランド小物」「自動車パーツ」「デジタルカメラ」を挙げた。

<取引額TOP10>

「メンズ アパレル&バッグ ブランド小物」は、バッグ、アパレル、シューズ3カテゴリー全てで急激な伸長を見せた。ブランド別では、1位に「Onitsuka Tiger」、6位に「Asics」、8位に「Mizuno」、トップ20に「ユニクロ」「Porter」、デニムの「iron heart」と国内ブランドの成長が著しい。

「自動車パーツ」においては、車パーツが2桁、バイクパーツが3桁成長を遂げた。特にエンジンパーツの成長が著しく、「Toyota」車種に適合可能な「AISIN」のウォーターポンプが大きく寄与。バイクパーツは「ホンダ」の「ゴールドウィング」と「ワルキューレ」のモデルに互換性のあるパーツが大きく寄与した。古いモデルのメーカー純正部品を手頃な価格で安心して購入できる先が日本となっていることに加え、自分の車にパーツが合うか手軽に確認できるツール「myFiitment」が普及したことが要因としている。

「デジタルカメラ」は、前年同期比で2桁成長となった。世界的な旅行客増加で、撮影の難易度が低く携帯性の高いカメラへの需要が高まった。SNSの普及に伴う、瞬時にデジタルデータを共有できる容易さへの需要の高まりから、コンパクトデジカメが人気となっている。今期は円高に傾いたものの、スペックの高い日本の1000ドル前後の高級コンパクトデジタルカメラの人気は衰えていない。

2024年 第3四半期のカテゴリーランキングの取引額トップ10では、1位、2位は前年同期、および2024年第2四半期と同じく、1位が「レディース アパレル&バッグ ブランド小物」、2位が「時計・パーツ&アクセサリー」だった。3位は「アニメアート&キャラクターグッズ」が、前回3位の「カメラレンズ&フィルター」を追い越す結果になった。

カテゴリーランキングの成長率トップ3(前年同期比)は、1位が「メンズ アパレル&バッグ ブランド小物」、2位が「自動車パーツ」、3位が「デジタルカメラ」となった。

<成長率TOP3>

2024年(7月~9月)の販売動向の総評と今後の販売予測では、円高の影響と大統領選のトランプ氏勝利に言及した。

イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 部長 北村氏は、「7月前半につけた1ドル161円をピークに一時20円ほどの円高になった影響を受け、前回の同年4月~6月ほどの伸びはありませんでした。しかし米国経済は堅調に推移、円高の影響は限定的となりました。米大統領選がトランプ氏勝利に終わり、米国の過剰なインフレを終わらせる動きへの期待感が高まりそうです。彼らが公約5つの柱で目指す、国内製造業活性化・GDPの押し上げ・雇用増が実現すれば、今後の米国経済の堅調な推移が持続する見込みが高いため、第4四半期と2025年第1四半期はもちろん、今後の対米ECの盛り上がりが期待できるのではないかと考えています。気になる日本製品への関税増加については、ヨーロッパ製の中古品や趣味性の高いコレクティブルズ商材が大きな売り上げを占めるという背景から、そこまで大きく影響はないと予想しています」とコメントした。

今後の施策については、オンラインマーケットプレイスである「eBay」の運営において、米大統領選挙などの政治的モーメント、為替の変動といったアメリカの社会情勢は重要な要因であり、セラーにとっては大きな考慮事項になるとし、イーベイ・ジャパンは今後も、セラーが安心してビジネスを展開できるようなサポート体制を充実させていくだけでなく、このレポートをはじめとしたさまざまな商況分析を積極的に発信することで、売上増加に貢献するとしている。

さらにイーベイ・ジャパンは、日本向けサービスの拡充やクーリエサービスの品質向上、個人による越境EC(個人輸出)の楽しさを発信してきたが、日本国内のセラー増加により、利用者のニーズも多様化しているとし、Third Vendorとの連携によるさらなる機能拡充を進めることで、充実した顧客体験の提供を推進していく考えを示した。