トランプ氏の圧勝に終わった米国大統領選挙から早くも1か月が過ぎた。今回の大統領選挙は稀に見る大接戦になるというのが大方の見方だったが、いざ開票作業が始まるとすぐにトランプ優勢が顕著になり、トランプ氏はペンシルベニアやウィスコンシン、ノースカロライナなど7つの激戦州を全勝し、民主党は歴史的大敗を喫した。言い換えれば、今回の選挙はバイデン政権の4年間に対して米国民がNoを突きつけた結果とも言えよう。議会の上院と下院でも共和党が多数派となるトリプルレッドの状況となっており、トランプ氏にとってはこの上ない環境が到来した。
トランプ次期政権の最重要課題が、対中国であることは言うまでもない。トランプ政権の外交・安全保障政策で重要な役割を担う重要ポストには対中強硬派が相次いで起用される見込みだ。国務長官には、中国・新疆ウイグル自治区における人権問題を非難し、台湾防衛の重要性を訴えるマルコ・ルビオ上院議員が起用される予定で、安全保障担当の大統領補佐官には下院における対中強硬派の急先鋒と言われ、陸軍特殊部隊に所属していたマイク・ウォルツ下院議員が起用されるという。
そして、トランプ氏は関税を武器とした攻撃を中国に強化していく。トランプ氏は政権1期目の時、莫大に膨らむ米国の対中貿易赤字に強い不信感を抱き、中国製品に最大25%の関税を課す制裁措置を次々に打ち出していき、米中の間では貿易摩擦が激化、世界経済に大混乱を生じさせた。
今回もトランプ氏は選挙戦の最中に中国製品に対する関税を一律60%に引き上げるなどと主張し、最近では就任初日から中国製品に対して10%の追加関税を課すと発表するなど、今後も具体的な関税率の数字で変化はあるものの、トランプ氏はタリフマン(関税男)として大胆な行動に出るだろう。